2011年03月28日 13:23

「日本の原発ロシアンルーレット」ローレン・モレ(2004年5月23日掲載)

「日本の原発ロシアンルーレット」ローレン・モレ(2004年5月23日掲載)

http://www.stop-hamaoka.com/news/moret.html
 世界中のあらゆる場所の中でも、正気の人なら、誰もそこにいくつもの原発を立てようとは思わない場所のリストの、ほぼ最上位にくるのが日本だろう。

 日本列島は、環太平洋火山帯と呼ばれる場所に位置し、ここは北米から南米、アジア、東南アジアの弧状列島と連なる広い活発な火山と地殻構造をもつ地域である。日本列島で起きる巨大地震と活発な火山活動は、アジアの下へ潜り込もうとする太平洋プレートと他のプレートの西向きの動きによって起きる。日本列島は、4つのテクトニクスプレートの上に乗り、潜り込み地帯の縁に位置する、世界で最も地殻構造的に活動的な地域の一つである。日本の美しい島々と火山を創りだしたのは、海底の下のプレートの激しい動きがもたらす、非常に大きな圧力と温度である。

 それにもかかわらず、商業炉の85%にGEやウェスチィングハウスが設計した炉を使っている世界の多くの国々と同様に、日本もまた原子力発電を主要なエネルギー源にしている。実際、原発を多数もつ国の上位3つは、2000年エネルギー省から118基が認可を受けている米国と、72基をもつフランス、そして2003年12月の政府白書によると52基が運転中の日本である。

 日本の52基の原発は、電力の30%強を生産しており、カリフォルニア州程度の面積の中に、それぞれが150km以内という多さで、しかも殆どすべてが冷却用の海水を得るため海岸沿いに建っている。

 けれども、これら原発の多くは、活断層の上に無神経に建設されてきた。とりわけ、M7〜8を越える巨大地震が頻繁に起きている太平洋沿いの沈み込みゾーンの中にである。
日本での巨大地震の周期は10年以下である。原発にとって日本以上に地質学的に危険な場所は、世界中ほとんどない。そこが世界で第3番目の原発立地国なのである。

 「現在の状況は非常に怖いと思う」地震学者であり神戸大学教授の石橋克彦氏は言う。「爆弾を纏った神風テロリストが今にも爆発を待っているようだ。」(中略)

1999年9月に茨城県東海村で起きた日本の歴史上最も大きな原子力災害の後、原発の近くには、周辺住民をなだめるため立派で、お金をかけた緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)が建設された。

 浜岡原発から数キロの所にあるこのセンターを訪れて私が悟ったのは、地震で原子炉冷却システムが損傷し、炉心溶融を引き起こすような事態に対応できる本当の原発防災計画を、日本が持っていないということだ。

 しかも、オフサイトセンターの職員は触れもしなかったが、地震によって使用済み燃料を貯蔵するプールの冷却水が喪失するという重大な危険性もある。

 2001年の米国原子力規制委員会の調査に基づいて、昨年、科学と国際安全保障ジャーナル(the journal Science and Global Security)の中で報告されたように、もしこうしたプールの熱除去機能が深刻に損なわれる-----例えば中の水が漏れ出てしまうといった---ようなことが起これば、燃料棒が燃焼しうるほど高温になり、中の放射能が大気中に放出される。これはチェルノブイリ以上の原発事故に発展する可能性もある。

 もし原発事故が起これば、浜岡のオフサイトセンターの緊急時対応の職員はもちろん、プラント労働者もたちまち致死的な放射線で被曝するだろう。

 訪問中、オフサイトセンターの技術者は、職員を除染するために使われるというセンター内の小さなシャワーを私たちに見せてくれた。しかし、放射能を吸い込んで内部被曝した緊急対応職員には役にたたないであろう。

 私がオフサイトセンターの職員に対し、神戸規模の大地震(神戸は浜岡と同じ潜り込みゾーンの上にある)で通信網や道路、鉄道、上下水道が破壊されてしまった後に、どうやって数百万人の静岡県の人たちを避難させる計画なのかと質問したら、彼らは答えられなかった。

 昨年、米国のFEMA(連邦緊急事態管理局)の前局長だったジェイムズ・リー・ウイットが、ニューヨーク市民に雇われ、米国政府の原発事故に対する緊急対応計画を評価した。政府の計画では、ニューヨーク市から丁度80kmの位置にあるインディアン・ポイント原発の事故に十分対応できないことを知った市民は、ショックを受けていた。

 日本政府には備えようがない。なぜなら、このような事故の影響を小さくするとか、対処できるような対応策はないからである。予防するのが、考えられる唯一の効果的手段である。

 1980年から98年に内部告発のため解雇されるまで、米国GEでベテランの現場技術者として働いていた日系アメリカ人のケイ・スガオカ氏(51)は、1998年に、89年の原発の定検の問題を日本の原子力の規制局(原子力安全・保安院)に警告した。彼が申し立てたこの問題を、GEは顧客である東電へ報告していなかった。

 後になって、実際にはGEは東電に報告していたが、東電が保安院にこの問題を知らせていなかったことが、GEの文書で明らかになった。

 日本の原発技術者で、内部告発も行っている菊地洋一氏は、原子炉の震動による冷却系配管のひび割れといった、日本の原発プラントの安全性に関する多くの問題を私に個人的に教えてくれた。電力会社は、「利益を上げ、国の監視を減らすために危険な博打をしている」と彼は言った。 スガオカ氏も、「何より一番怖い問題は、全ての原発が老朽化していて、常に強い放射線と熱にさらされた配管や接合部が劣化をしていることだ」と言い、同調した。

 多くの内部告発者と同様、スガオカ氏と菊地氏は市民の英雄であるが、今も失業中である。

 米国の独立した科学者のグループである「放射線と公衆衛生プロジェクト」は、原発周辺に住む子どもから4000の乳歯を採取した。これらは、原発の排気から放出される核分裂生成物のストロンチウム90の濃度を測定するために検査された。

 胎児は、母親の飲料水や食事を通してストロンチウム90に被曝している可能性がある。原発近くに住む人はどの人も、食べ物や飲料水を汚染した恒常的な低レベルの放射線によって内部被曝をしている。ガンや乳幼児死亡率、精神障害を引き起こす未熟児の割合の上昇は、何十年にもわたる被曝に関係している。

 しかしながら、欧州放射線リスク委員会(ECRR)による低線量被曝についての独立した報告書が、2003年1月の欧州議会のために公表され、1945年以来米国政府が日本で行ってきた広島、長崎の生存者についての原水爆調査が、被ばくのリスクを1000倍も過小に評価していたことを証明した。

 更に、今年3月26日---ペンシルバニア州スリーマイル島での米国史上最悪の原発事故25周年の前日---「放射線と公衆衛生プロジェクト」は、この事故の影響に関する新しいデータを発表した。データは、原発の風下の郡で、乳幼児死亡率が53%も上昇し、甲状腺ガンでは70%以上増えていることを示していた。健康に対する短期的及び長期的影響に関する全てのデータと同様、こうしたデータが米国政府から出てきたことはなかった。

 原発事故が日本で起きるかどうかという問題ではなく、いつそれが起こるかである。

 日本も、チェルノブイリ事故後の旧ソ連のように、将来の世代を傷つける放射線障害に苦しむ国となり、耕作地に広がった汚染が人々の健康を確実に蝕むであろう。日本経済は二度と回復できないかもしれない。

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