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僕は式貴士や日影丈吉といった、怪奇幻想風味で味のある小説をかく作家さんが好きなんですが(式貴士さんの作品のなかでは猫がひどい目にあったりして、残念ですが…)、なかでも、日影丈吉さんの「猫の泉」(澁澤龍彦編「暗黒のメルヘン」に収録)はとても好きです。主人公が他人とは思えないんですよ〜。この作品の主人公は、旅行先で動物の写真を撮ることを楽しみとする猫好きの旅行家なんですね。

だいたい私は風景写真か、でなければ動物しか、撮ったことがなかったのだ。人間は苦手だし、人間をうまく写せるほど充分に、専門家とはいえない腕前だった。
日影丈吉「猫の泉」より

で、この人見知りな猫好き旅行家さんが、とある辺鄙な謎の町で、玄妙奇怪な体験をするんですが、この旅行家さんは、猫好きで、猫に心許しているがゆえに、助かるという、猫好きが読んでいると思わずニヤリって感じの面白い怪奇小説です。短編でさくっと読めますし、猫好きにはぜひお勧めですよ〜。

私ははっとした。砂岩の彫像かと思ったものが、いっせいに金色の眼をあけて、私をみつめたのだ。猫!フランスでは青猫という、灰色の大猫が、三、四匹、悠然といた。私は急に嬉しさがこみあげて来て、外出の時はいつも首にかけている、ローライを持ちなおした。
日影丈吉「猫の泉」より

暗黒のメルヘン (河出文庫)

カンタン刑 式貴士 怪奇小説コレクション (光文社文庫)