2011年01月14日 08:28

宮部みゆき「英雄の書」。松野泰己/宮部みゆき/米澤穂信が語る『オウガ』。宮部みゆきさん、ゲームの本質を述べられている…。

英雄の書 上
英雄の書 下
タクティクスオウガ 運命の輪 特典 オリジナルタロットカード付き
ラストストーリー 特典 エレメント オブ ザ ラストストーリー(サントラCD+ビジュアルブック)付き

松野泰己さん、宮部みゆきさん、米澤穂信さんによる『オウガ』シリーズについての対談を読了。僕は、オウガシリーズ好き、特にタクティクスオウガ大好きで、「レベル99」「死者の宮殿クリア」「全ルートクリア」した、もう最高に好きな作品なんですね。タクティクスオウガ大好きなゲーマー作家、宮部みゆきさんが、ゲームの本質について語っていて、感動しました。

電撃ゲームズ 松野泰己/宮部みゆき/米澤穂信が語る『オウガ』
http://news.dengeki.com/elem/000/000/336/336146/

宮部みゆき
「確かに『タクティクスオウガ』はRPGとしての王道的な大河ファンタジーではあるけれども、それだけじゃない。私たちの現実に深くつながる普遍的な要素がたくさん詰め込まれている。言葉やセリフでもそれらは雄弁に語られているんですが、何より主人公の“選択”と“行動”によって如実に示される。それを体感するという経験は、ゲームにしかできないんです! 小説を読むという行為では味わえない、誰かの話を聞いただけでもやはり実感しえない。」

米澤穂信
「『プレイする』という能動的な意志が。」

宮部みゆき
「そう、自分の意志が入ることでしか体感できない感動なんです。“正しいor間違い”の選択肢ではなく、何が自分の正義かを問いながら選んでいく。」

そう、これなんですよね…。『自分の意志が入ることでしか体感できない感動なんです。“正しいor間違い”の選択肢ではなく、何が自分の正義かを問いながら選んでいく。』。自分の能動的意志によって、世界が大きく変わってゆくマルチシナリオ・マルチエンディング作品としては、『タクティクスオウガ』は最高の作品ですね。他のマルチシナリオ・マルチエンディングゲームで楽しかった作品は、『真・女神転生シリーズ』『メタルマックスシリーズ』『クロノトリガー』『ルドラの秘宝』とか記憶に残っていますね、最近(昨年)やったゲームでは『真・女神転生ストレンジ・ジャーニー』『メタルマックス3』『ラジアントヒストリア』が傑出の出来でした。特にラジアントヒストリアはマルチシナリオ・マルチエンディングの非常に優れた傑作です。僕はレイニーエンドが一番好きですね…。

『自分の意志が入ることでしか体感できない感動なんです。“正しいor間違い”の選択肢ではなく、何が自分の正義かを問いながら選んでいく。』

更に付け加えると、自分の意志で判断したことによって、自分の思いもかけない方向に物事が大きく進んでいく衝撃というのも、またRPGの醍醐味ですね。タクティクスオウガの暗殺ENDは今も忘れられない衝撃の思い出ですし、『真・女神転生2』、僕は最初にプレイしたとき、『LOWエンド』だったのですが、あのラストの衝撃は今も忘れられません…。僕は、メガテンシリーズプレイするとき、最初は事前情報一切なしで純粋にプレイしますが、真・女神転生ストレンジ・ジャーニーもLOWエンドで、これまた、凄まじい衝撃のエンディングを迎えました…。メガテンシリーズはLOWエンドになると、人類は神に裁かれてとんでもないことになるのです…。メガテン2のときも、ストレンジ・ジャーニーの時も、『人類の為に一生懸命良かれと思って行動しているのに…なぜだ!?なぜこうなったのだ!?』と胸に衝撃が広がるのを感じましたね…。あとは「ルドラの秘宝」で、選択によっては、主人公がラスボスに隙をつかれてやられた挙句、ラスボスの体内に取り込まれて同化されて、別の主人公のシナリオでラスボスと融合しているところを討たれるという展開も衝撃でした…。このゲームは三人主人公がいて、それぞれの行動でそれぞれの主人公のシナリオが変化する為、別の主人公のシナリオでなんとか助け出せるんですが…。

ゲームプレイに自分の意志による世界の変革は絶対に必要です。ただ、なんでもかんでも自分の意志通りに進んだらそれはそれで予定調和になってしまいつまらない訳で、何が自分の正義かを問いながら自分の意志による選択で進みつつ、そして更に思いもよらない驚くべき展開、この衝撃を味あわせてくれるゲームを、今後もプレイしたいですね…。今月発売の「坂口博信さん+任天堂」コンボのRPG「ラストストーリー」、最高に期待しております。みんなのニンテンドーチャンネルで見た究極的に自由度の高いバトルシステムが余りにも壮絶に楽しそうで、楽しみでたまらない…。オンラインRPGなのも良いですね。昨年出た任天堂のRPG『ゼノブレイド』、最高に楽しかったですが、僕にとってゼノブレイドを超える、Wiiで最も楽しい最高のソフトは『斬撃のレギンレイヴ』でして、レギンレイヴの最大の楽しさは『みんなで協力して強敵と戦うオンラインプレイが楽しすぎる』というところです。共に戦っている仲間プレイヤーの、こちらの予想を完全に超えた戦術、見事な戦い方とか見ると、感動しますね…。「ラストストーリー」、オンラインで協力プレイができるとのこと、最高に楽しみにしています。

宮部みゆき
「1人のゲームファンとしても、小説家としても私はこの作品を忘れることができないんですよ。じつは『タクティクスオウガ』をプレイした後、ずっと描いている夢があります。いつか、マルチエンディングの小説を書いてみたいんです。どのルートに行っても納得がいく結末を迎えられるような、どこへいっても読者に納得してもらえる、そんな小説を書いてみたい、と。」

これ、宮部さんの読者である僕にとっては、凄く良く分かるなあと…。「英雄の書」が、まさに、上記に、挑戦していた部分のある作品でしたね…。宮部みゆきさんの著作「英雄の書」は、RPGをプレイするプレイヤーを、言葉から生まれた複数の異世界(領域)を、干渉し変化させながら渡っていく存在として位置づけ、我々の世界にある書物やゲームは異世界の物語(=異世界の在り方)の顕現と位置づけた、メタ・RPGファンタジー小説でして、RPGゲーマーにとって最高に面白い作品です。宮部みゆきさん流「ガンパレード・マーチ」って感じで、けれん味溢れる最高に楽しい小説、ゲーム好きな皆様方にぜひ読んで欲しい小説ですね。ゲーマーの宮部さんならではのゲーム(ファンタジーゲーム世界)への愛情が溢れています。そして、本作におけるシェアード・ワールド(共有される物語世界)が「クトゥルフ神話」なのは、僕的には好みですが、この我々の世界における最大のシェアード・ワールドは、「聖書」でしょうね…。英雄の書、ゲーム好きはぜひ読んで欲しい作品です。amazonレビュー辛目ですが、僕は上下巻ともに凄く楽しく読めました。心から面白かったですね…。本作はスティーヴン・キングとピーター・ストラウブの共著による傑作ファンタジー小説「タリスマン」の影響を大きく受けている、現実世界とファンタジー世界が幻想的に交差する作品、タリスマンのオマージュ作品なので、本作を読んだお方々には「タリスマン」も読んで欲しいですね…。

「この地は物語の源泉にございます」

友理子の瞳を見つめて、言い聞かせるような口調で、老無名僧は言葉を続ける。

「物語の生まれ出て消ゆるところ、物語の往きて還り着くところ。『咎の大輪』は、その流れを生む仕掛け…装置と申しましょうか」(中略)

「印を戴く者(オルキャスト)よ」進み出て、友理子の肩に手を乗せた。「しかしあなたには、数多の書物どもがお味方をいたします。『英雄』の破獄を知り、既に狩りを始めておるであろう『狼』たちも、やがてあなたの御前に姿を現すことでありましょう。あなたが今はまだご存知ない領域のなかには、『英雄』の力を削ぐことのできる剣士や法術士もおることでございましょう」

剣士?法術士?自然に、嫌々するように首を振り始めた友理子は、老無名僧の手で肩を穏やかに揺り動かされて、目を上げた。

「弱気に陥ってはなりませぬ。領域(リージョン)は星の数ほどござります」

「領域(リージョン)って何?あたしが住んでいる現実の世界のこと?だったら、うちの近所には剣士も法術士もいませんよ。いるわけないじゃない」

老無名僧は頬を緩ませた。

「あなたが暮らしている場所も領域(リージョン)。しかし、領域は他にもあるのでございます」

輪(サークル)のなかを流れる、数え切れないほどの物語も、そのひとつひとつが領域なのだと老無名僧は説明した。

「輪の内の、さらにひとつひとつが閉じておる場所でござります」

ちょっと理解しかねた。輪の内に行き交う物語というのならば――

「本のことですか?」

「書物のみではござりませぬが。素の形は書物なれど、別の形で顕現している領域もござります」

映画とか?コミックとか?ゲームとか?いちいち声をあげて、しかもだんだん甲高い声になる友理子の詰問に、老無名僧は動じない。

「あたし、そのなかに入り込むんですか?」

「兄上がそこを通られた形跡があるなら、あなたも追ってゆかねばなりますまい」

現実の世界の中で、現実と創作物のなかを行ったり来たりするというのか。

「どうしてそんなことができるの?」

「あなたが、印を戴く者(オルキャスト)であらばこそ」
(宮部みゆき「英雄の書」)

参考作品(amazon)
ラストストーリー 特典 エレメント オブ ザ ラストストーリー(サントラCD+ビジュアルブック)付き
タクティクスオウガ 運命の輪 特典 オリジナルタロットカード付き
英雄の書 上
英雄の書 下
タリスマン〈上〉 (新潮文庫)
タリスマン〈下〉 (新潮文庫)
ブラック・ハウス〈上〉 (新潮文庫)
ブラック・ハウス〈下〉 (新潮文庫)
メタルマックス3(通常版)(特典なし)
真・女神転生 STRANGE JOURNEY(ストレンジ・ジャーニー)
ラジアントヒストリア 特典 オリジナルサントラCD/下村陽子付き
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斬撃のREGINLEIV(レギンレイヴ)(特典無し)

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