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特務咆哮艦ユミハリ 1 (バーズコミックス)

イカ娘と並んで毎回楽しみに見ていたアニメ「おとめ妖怪ざくろ」最終回。これまでは普通に面白かったのですが、最終回は無理やりあまりにありがちな展開に落とし込んでいる&三下悪役の蜘蛛がはっちゃけてて(汚れ役の悪役なのに声が「永遠の17歳」井上喜久子さんというのが、オールド声優ファンとして感涙)、シリアスなのにギャグみたいな展開で楽しかったですね。

おとめ妖怪ざくろのアニメは、徹底してウェルメイド(そつのない・お約束・定型・既製品踏襲的)な出来を意識して作られているアニメですが、最終回とその前回は、ウェルメイドであろうとしすぎて、アニメのありがちな最終回を踏襲しようとして、逆にウェルメイドから逸脱しちゃってましたね。それによってシリアスなのに笑える楽しいアニメに。アニメのお約束として以下のようなものがあります。

最終回近くになると、唐突にラスボスが出てくる。

今まで戦っていたキャラの立った悪役、悪役になりきれない悪役と手を結んで、一緒にラスボスと戦うことで、これまでの戦いがうやむやになり、今までの敵とはなんとなく和解。

ラスボスを倒してハッピーエンド

これは、アニメでは、延々と繰り返されているお約束の終わり方で、最近だと、「おとめ妖怪ざくろ」の一週間前に最終回を迎えた「サムライガールズ」もこの終わり方でそつなく終わらせていましたね。「ざくろ」もこの終わり方なのですが、ラスボスのセレクトが…。

サムライガールズDVD・ブルーレイ一覧

「ざくろ」の最終回では、それまでは明らかに雑魚三下的ポジションにいた蜘蛛が突如ラスボスに大出世。悪側の本拠地である神がかりの里に反逆し、あっという間に里を全滅させていますが、ええっ…!?確か、神がかりの里って、人間より神に近い、物凄い力を持った連中が集まっている、天上世界みたいな凄いところって、アニメの中で説明していたのに…。蜘蛛って、神がかりの里を全滅させるほど力があったの!?蜘蛛は強い力を持った人間を食えば食うほどパワーアップするから、里の人間を食ってパワーアップと、後付の説明がありますが、蜘蛛の外見があまりにも面白すぎてユーモラスな、RPGで雑魚として出てきそうな外見なので、説得力を感じなかったり…。

というか、ざくろは、最終回に向かうにつれて、むりやり先の「突然ラスボス出てきて、これまでの戦いをうやむやにして大団円」に持ち込もうとしているのが見ていて分かって、設定がおかしくなってきて、これまでのそつのない出来から逸脱してきて、これはこれで面白くなる作品でしたね。最終回の一回前に出てくる神がかりの里の飯綱使い達、妖力を持たないただの人間の芳野少尉にあっさり倒されるほど弱いし…。「凄い力を持った悪党どもの本拠地」がこんな雑魚そのものな連中の集まりだったとは…。

最終回では三下悪役の蜘蛛がいきなり神がかりの里を全滅させてラスボスに大出世するわけですが、神がかりの里を潰して、無理やりハッピーエンドに持ちこむためにしても無理ありすぎだなあ…、と思いながら見ていたら、蜘蛛が三下悪役っぽさ丸出しのままで笑いました。百緑と橙橙が湿っぽく話を盛り上げているところで蜘蛛が言う、「湿っぽい三文芝居はこれで終わりかい?」の台詞破壊力強すぎ。思わず意表を突かれて爆笑してしまいましたよ。三文芝居中にこの台詞は禁句過ぎる…。

なんだろうこれ…。「おとめ妖怪ざくろ」、最終回の展開が、シリアスなんだろうけど、展開が無理やりお約束にはめ込もうとして、かえって不自然な展開になりすぎて、見ているとギャグとしか思えなくて、しかもそこに登場人物が突っ込みをいれるという、面白いアニメでしたね。あれれ…序盤~中盤は普通にそつなく出来ていたアニメだったのに…どうしてこうなった?

たぶん、ざくろの製作スタッフは、物凄くウェルメイドに作ろうとしているんですけど、その過剰なウェルメイド、お約束を外さないようにするという思考の枷が、逆にウェルメイドから逸脱した展開を作っちゃったというところが、今期のアニメでは非常に面白いなと感じさせてくれましたね。基本的にアニメはウェルメイド、既製品踏襲が基本ですが、たまにこういうのが出てくると楽しいですね。既製品を踏襲しようとして、逆にあさってのところに行っちゃうというのは、狙って作れるものではないですからね。文芸評論家の斎藤美奈子氏は、中原昌也氏の言葉を借りて、『訳の分からなさを出せるのは小説だけ』と、漫画やアニメを見下したような評論を書いていますが、これは単に斎藤美奈子氏や中原昌也氏が漫画やアニメに詳しくないだけですね。

「(現代の本は)安易な感動や予定調和の波乱万丈、シンメトリックな起承転結の構造などを伴ったウェルメイドな作品が増え」たと(島田雅彦は文学界一月号のインタビューで)述べる。(中略)同じ状況を、もっと絶望的な口調で書いているのは中原昌也である。「わからないものは偉そうで高尚だと思ったり、通向けのもとだと思ったりするこの精神の貧困さはなんだろう。みんな精神が貧しくなっている」と彼は嘆く。今後について「どうせ、漫画やアニメばかりが語られる悪い方向にしか行かないさ」。(中略)

しかし、わからなさを否定したら純文学は商売あがったりなのだ。わからなくて結構という作品、わかってたまるかという作品、わかったらおしまいだといいたげな作品。文芸誌はそうしたものの宝庫だからだ。(中略)

わからない小説に出会った場合、さて、読者はどうしたらいいのだろう。不親切だと怒る人もいよう。だけど、親切な小説ってそもそも何?(中略)はたして「わかる」ことが小説を読む目的なのだろうか。円城塔は見るからに「前衛でござい」「わからなくて結構でござる」な小説を書く作家である。(中略)

「わからない」の効用はわからなさそのものにある。私の頭はこんなに悪かったのかと愕然とする。しかし文学が、いや世界が簡単に分かると思う方が間違いなのだ。人気俳優が手がけたことで話題の某社小説大賞受賞作は、わかるものだけを並べた小説であった。
(斎藤美奈子「文芸時評」朝日新聞10/12/28文化欄より)

僕は訳が分からない作品が好きで、円城塔さんもイタロ・カルヴィーノに並んで好きな作家ですが、だからといって、『訳の分からない作品』が純文学の独壇場だと思っては困りますね。ちなみに斎藤美奈子さんが今回取り上げている円城塔さんの作品「これはペンです」は、結城恭介さんが新潮新人賞を取った前衛的なメタSFユーモア小説「美琴姫様騒動始末」が元ネタで、その後、結城さんはアニメのノベライズやラノベ作家として活躍していることとか、純文学にしか目の行かない斎藤美奈子さんは、全然知らないことなんだろうなあ…。斎藤美奈子さんが円城塔さんのことを「SF作家」ではなく、「前衛的純文学作家」としてしか捉えられないところこそが、純文学のダメなところを思い切り表しているのですよ…。

Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)
Boy’s Surface (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)
見えない都市 (河出文庫)
むずかしい愛 (岩波文庫)
レ・コスミコミケ ハヤカワepi文庫

「ねえ、外国語がペラペラって本当?」
「うん、英語とフランス語とスペイン語とロシア語と中国語とエスペラントが喋れるよ」
「ねえ、じゃあ英語でこれはペンですって云ってみてよ」

「これはペンです」

「ねえ、じゃあフランス語で云ってみて」

「これはペンです」

「ねえ、じゃあスペイン語で」

「これはペンです」

「じゃあロシア語で」

「これはペンです」

「じゃあ中国語」

「これはペンです」

「エスペラント」

「これはペンです」

「すご~い、ほんとに外国語ペラペラなんだね!!」
(結城恭介「美琴姫様騒動始末」)

美琴姫様騒動始末 (新潮文庫)

野暮を承知で上記を説明すると、文章としては全部日本語で書いてあるのに、全部別々の言葉として作中世界では理解されているところが、作中世界と現実の構造の違いをネタとしたメタギャグになっている訳ですね。円城塔さんの作品はこの芸風の極地にあって僕は好きですね。こういう前衛的構造ネタは、純文学より、SF小説(円城塔さんとか)やミステリ(先に紹介した麻耶雄嵩さんとか夢野久作とか)やアニメや漫画といった、純文学が見下してきた世界の方がずっと豊穣ですよ。

斎藤美奈子さんや中原昌也さんは、純文学だけを特別扱いして崇め奉り、「どうせ、漫画やアニメばかりが語られる悪い方向にしか行かないさ」なんてほざいて、傲慢で純文学しか見ようとしない視野の狭い態度を取るから、純文学は腐って終わってしまったのだ、あなた達のような純文学を特権化する勢力が、純文学を傲慢により腐らせたのだということが、いまだに分かっていない…。

漫画で『わからなくて結構という作品、わかってたまるかという作品、わかったらおしまいだといいたげな作品』をひとつ挙げるとしたら、富沢ひとしさんの漫画「特務咆哮艦ユミハリ」をお勧めしますね。この漫画の訳の分からなさは常軌を逸しています。この漫画の展開は、まさに『筋らしきものを書いても何の足しにもならない。この小説は解説を拒むのだ』(by斎藤美奈子)な、説明しがたい訳の分からなさです。時間と空間がめちゃくちゃになっている世界の話でして、何もかもめちゃくちゃで混沌としていて、そこが面白くて僕は好きな漫画ですね。ただ、ちょっとグロテスクな描写があるので、グロテスクな描写が嫌いという人は避けた方がいいかもです。

『訳の分からない漫画ランキング』

というのがあったら、僕はこの作品を一位に推薦しますね。そのくらい訳がわからなくて、しかも、なぜかぐいぐい読ませる、読んだ後も印象に残るという…。前衛的なわけの分からない作品が好きな人、SF好きな人にはお勧めの漫画ですね。ちょっとゲームの「東方見文録」を彷彿とさせるかもです。

特務咆哮艦ユミハリ 1 (バーズコミックス)
特務咆哮艦ユミハリ 1 (バーズコミックス)
特務咆哮艦ユミハリ 2 (バーズコミックス)
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特務咆哮艦ユミハリ 3 (バーズコミックス)
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特務咆哮艦ユミハリ 4 (バーズコミックス)
特務咆哮艦ユミハリ 4 (バーズコミックス)

ウィキペディア「東方見文録」
『東方見文録』は、1988年11月10日にナツメから発売されたファミリーコンピュータ用ゲームソフト。ジャンルはアドベンチャーゲーム。(中略)パッケージに「ニューウェーブ・サイケデリック・アドベンチャー」と銘打っている通り、狂気的で不条理な物語が展開される。

ゲーム探検倶楽部ゲームレビュー #105 東方見文録(ファミコン)
http://park18.wakwak.com/~kuwano-h/game/new-105.html
1.まさしくニューウェーブ
このゲームには、「こういうゲーム展開もあるんだゼ!!」という開発者の声が聞こえてきそうな、まさしくニューウェーブなゲームです。これまで、これほど狂った、そしてキケンなゲームはあったでしょうか。

あと、本題と全く関係ない余談ですが、以前から気になっていたゲーム「ニノ国」ついにamazonで3400円に。ゲームとして評判いいですし、ああ…もう買ってしまいたい…。でも、お金なくて生活厳しいのと、待てばもっともっと安くなる可能性があって…、迷いますね…。「ニノ国」プレイしてないので、僕の判断はできないのですが、評判良くて面白そうなRPGなので、RPGが好きでまだ買ってないゲーマーさんにはいいかもです…。ちなみに僕が実際にプレイしたRPGで今年一番お勧めできるのは、「ラジアントヒストリア」ですね。

二ノ国 漆黒の魔導士(魔法指南書 マジックマスター 同梱)
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ラジアントヒストリア 特典 オリジナルサントラCD/下村陽子付き
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参考作品(amazon)
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