2010年03月04日 02:33

斬撃のレギンレイヴ、オフラインの物語、胸熱くする悲劇です。ラグナロク、避けられない滅びの運命。

斬撃のREGINLEIV(レギンレイヴ)(特典無し)(再販)
Wii専用 LANアダプタ

昨日更新できなくてごめんなさい。前回のこと(アフィリエイトの収入が低下)が思ったよりショックだったみたいで、あまり調子がよくありませんでした。それでも僕ができることとして、頑張ってブログの更新は続けたいと思います。今回は、これまでずっとご紹介させて頂いている斬撃のレギンレイヴの魅力について語らせて頂きますね。3/6にamazonで再び再販があるので、まだ未プレイのゲーマーさんはぜひこのご機会にプレイお勧めの作品です。

本作品は、1人プレイ用で物語性の強いオフラインモードと、みんなでわいわい遊ぶオンラインモードがありますが、今回はオフラインモードについて。このモードは、人間の戦士達や神々の戦士達と共に、巨人族の大軍団と戦う物語。共に戦う仲間として北欧世界の英雄シグムントや、フレイドマルの息子レギンが出てくるので、僕はプレイしていて、『神々と神々の世界アスガルドは滅ぶかもしれないけど、きっと人間達の世界ミッドガルドと人間達は生き残るんだろうな』と思いながらプレイしていました。

そうしたら、後半が…。この物語の後半は、前半の希望に満ちた展開とうってかわって、まさに完全に北欧神話通りの避けられない滅びの運命の訪れ、重厚な悲劇的展開になるのですね…。神々も人間も必死に戦いますが、巨人族とムスペルとロキの生み出した化け物によって、彼らは全て戦死し、滅んでゆく…。終盤は物凄い勢いでみな戦死してゆき、全てが終わってゆきます。後半の悲劇的な戦い、悲愴な絶望的な戦いの中で、神々も英雄達も誇り高く死んでゆくのには、涙腺が緩んで胸が熱くなりました…。特に最終戦では、涙が滲みましたね…。

僕は英雄シグムンドがラグナロクで死ぬはずがないと思っていたので、後半の展開は本当に驚きでした。最後、北欧神話の物語通り、神々も人間も巨人族も化け物も全てが死に絶えて、終わりの世界の全てを焼き尽くさんとする炎の魔神スルトに対して、ただ唯一善神として生き残ったフレイ、フレイヤが、孤独な最終決戦を挑むとき、シグムントやレギンやアルヴィルダ姫やグンター王やハーケンなどの共に戦い、命を散らしていった仲間達が、ほんの僅かな一瞬だけ力を貸してくれる展開は、感動で、戦いながら胸が熱くなって、凄く思い出深い戦いでした…。

北欧神話では、フレイはラグナロクにおいて炎の魔神スルトに戦いを挑み、そして敗れて命を失うのですが、本作品では、フレイ、フレイヤの兄妹神がスルトを討ち、そして、全てが燃えて滅びてゆく世界の中で、最後に残った彼らもまた炎で滅びながら、それでも人間達の想いを世界に残すことで、世界は、神々も巨人族もいない、人間の世界として生まれ変わり、そして今のこの世界があるのですね…。最初から最後まで心揺さぶる物語、特に胸を打つ後半の悲愴な展開、北欧神話を題材としたゲームの物語として、最高峰だと思います。終盤は北欧神話通りの悲劇的な展開、避けられぬ滅びの運命ラグナロクが、情感豊かに展開してゆくのですね…。

フレイは火の巨人スルトと戦います。スルトがその燃え立つ刀を振り回すとき、フレイは自分の名剣を召使いのスキールニルに与えてしまったことを後悔するでしょう。それは長い乱闘となりますが、いずれにせよフレイが敗れるのです。猟犬ガルムはグニパヘリルから出て、片手のチュールの喉元に飛び掛り、彼と相討ちになって倒れます。昔からの敵同士、ロキとヘイムダルはもう一度戦い、それぞれが互いの死を招きます。大地の息子トールとヨルムンガルドは、以前にも戦ったことがあってよい勝負でした。ヴィグリードで、神が大蛇を殺すのですが、九歩だけよろよろと下がると、彼自身も死んでしまいます。ヨルムンガルドに吐きかけられた毒のせいです。オーディンとフェンリルは、真っ先に交戦しましたが、その戦いは恐ろしいものとなります。最後には狼が顎の間に万物の父を捕らえて、飲み込んでしまうのです。それがオーディンの死となるでしょう。(中略)

スルトがあらゆる方向へ炎を投げ飛ばし、アースガルドとミッドガルドとヨーツンヘイムとニヴルヘイムは溶鉱炉のように熱くなるでしょう――世界は荒れ狂う炎、渦巻く煙、灰だけの場所となるのです。九つの世界は燃え尽きて、神々は死ぬでしょう。エインヘルヤルも死に、ミッドガルドの男も女も子供も死ぬでしょう。妖精も小人も死に、巨人も死ぬでしょう。怪物も地下世界の生き物も死に、小鳥も動物も死ぬでしょう。太陽は暗くなり、空には星がなくなります。そして大地は海のなかに沈んでいくでしょう。
(クロスリイ・ホランド「北欧神話物語」)

本作のラスト〜エンディングは、まさに『スルトがあらゆる方向へ炎を投げ飛ばし、アースガルドとミッドガルドとヨーツンヘイムとニヴルヘイムは溶鉱炉のように熱くなるでしょう――世界は荒れ狂う炎、渦巻く煙、灰だけの場所となるのです。九つの世界は燃え尽きて、神々は死ぬでしょう。エインヘルヤルも死に、ミッドガルドの男も女も子供も死ぬでしょう。妖精も小人も死に、巨人も死ぬでしょう。怪物も地下世界の生き物も死に、小鳥も動物も死ぬでしょう。太陽は暗くなり、空には星がなくなります。そして大地は海のなかに沈んでいくでしょう。』そのままの展開なのですね…。北欧神話の悲劇を忠実にそのまま再現する物語だとは思わなかったので、衝撃的でした…。

共に戦ったヴァルキリーもエインヘルヤルも人間の仲間達も、一生懸命守ろうと努力した市井の人々もラグナロクで皆死にました…。『神々は死ぬでしょう。エインヘルヤルも死に、ミッドガルドの男も女も子供も死ぬでしょう。』本作終盤は真・女神転生2のロウエンド以上の衝撃です。真・女神転生2ロウエンドは、主人公とヒロインとごく一部の少数の人間だけが地球を脱出し、他の生命は全て死に絶えるのですが、それでも、地球を脱出した少しだけは生き残っています。本作は、もっと容赦なく、北欧神話通り、主人公のフレイとフレイヤも含めて、全てが死に絶えて世界は燃え尽きるのです…。ただ最後に、炎で滅んでゆく最後の生命にして最後の神々フレイとフレイヤが、人々の想いを滅びる世界に残すことで、世界は神々も巨人族もいない人間の世界として再生します。

ユグドラシルの樹――ある者はホッドミーミルの森と言います――の奥深くに隠れた二人の人間は、リーヴとリーヴスラシルと呼ばれるでしょう。スルトの炎も彼らを焼くことはなく、触れることさえないでしょう。そして彼らの生命の糧は(聖樹ユグドラシルの)朝の露なのです。やがて枝々を通して、彼らは光が戻ってくるのを待つでしょう。なぜなら太陽は、スコール狼につかまって食べられてしまう前に、彼女自身に劣らない娘を産んでいたからです。それが母と同じく空の道を辿って、世界を照らすことでしょう。リーヴとリーヴスラシルは子供達を持ち、その子供達が再び子供達を産むでしょう。どこにも生命と新しい生命が生まれ、大地のあらゆるところに生命があふれるでしょう。それがこの世の終わりで、また始まりなのです。
(クロスリイ・ホランド「北欧神話物語」)

本作では、北欧神話の聖樹ユグドラシル――再生する生命の象徴――が、人間と共に生きる神フレイとフレイヤであるのですね。ラグナロクによって全ての生命は死に絶えますが、誇り高く戦った人々の想いが残ることで、世界は再生する。人間と共に最後まで戦ったフレイとフレイヤはユグドラシルとして世界を再生させるのですね…。

エッダ詩に現された概念で、その樹(聖樹ユグドラシル)は絶えず滅ぼされ、しかもなお再生する。この意味では、それは永遠なるものであり、つまり、世界が崩壊し、神々が殺されている間にも、この樹は時代を通じて存続し、そして(生命を)庇護し、新しい命を生み出すということである。(中略)

ヘイムダルの角笛によって、神々はいまや危険に目覚めさせられ、オーディンはミーミルの頭に相談をしに出かけ、戦うときが来たことを知った。オーディンは彼の勇士達を壮大な平原に導き、そこで最後の戦いがなされなければならなかった。オーディン自身はしかし、敵軍の武器の前に倒れることはなかった。彼のいにしえの敵、狼(フェンリル)によって飲み込まれてしまうのだった。(中略)トールは蛇(ヨルムンガルド)と戦うために出陣し、それを殺害した。しかし蛇の口から出た毒が彼を打ち負かし、勝利のうちにその傍らで死す。チュールはヘルの守り手ガルムと戦い、ヘイムダルはロキと交戦し、全てが殺害されていった。フレイはスルトと交戦するが、その戦いに敗れた。スルトのみが生き残り、大地と天の上に火を投げかけ、それゆえ大地が波の下に沈むとき、炎は燃え上がるのであった。

ただ世界樹のみが崩壊しなかった。世界がそのまわりで崩れ果てたとき、たとえその樹が振動し揺れ動いたとしても、この樹のなかに二人の人間がかくまわれていた。彼らはリーヴとリーヴスラシルと呼ばれた。
(エリス・ディヴィッドソン「北欧神話」)

ただ、新たな世界には、世界の為に戦った神々フレイもフレイヤもブリュンヒルデもオーディンもテュールもトールもイズンもフリッグも、神々は皆滅んでいない世界、そして世界の為に戦った英雄シグムントもレギンもグンターもハーケンもアルヴィルダもラーンも、共に誇り高く戦った人間の英雄戦士達もいない世界、それを思うと、物悲しいです…。ゲームをクリアして、これほどの良い意味での悲劇的な感情と虚脱感を覚えたのは久々です。エンディング、この世界、今の世界にて、遥か古代の戦いと世界の終焉の物語『北欧神話』として語られる最後の一言が泣けます…。

「ずっとずっと大昔にね…」

参考作品(amazon)
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