銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
[ナショナル ジオグラフィックDVD BOX] 銃・病原菌・鉄(DVD3巻セット)
体調が良くなく、あまり寝床から起き上がれず困っています。猫がにゃ〜んって鳴いているので遊んであげたいのですが、体力がなくて、起き上がるのも一苦労です…。
図書館で借りて少しずつ読んでいたジャレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄」読了。地理的環境決定論を使って世界の歴史を説明しようとした本ですが、環境決定論の弱点(環境を絶対的な前提として重視しすぎるあまり、人為的な出来事や偶発的な出来事を論に組み込めない)が思い切り出ていて、人類が発祥の地アフリカから移民してゆく数万年前について述べる前半はともかく、後半(西暦が始まって以後)になればなるほど苦しくなる本でしたね…。どうしてこの本が高い評価を受けているのか理解に苦しむ点がかなりありました…。歴史的に見た中国とヨーロッパの比較の部分など、無理矢理ヨーロッパを持ち上げるヨーロッパ中心主義が本書の仮説にあることは厳然としていますし…。先にも書きましたが、環境決定論は人為的・偶発的な出来事を組み込めないので、これで歴史を説明するのは学説として無理がありますね…。
この本は人類の歴史を環境決定論で説明しようとしていますが、色々無理がありすぎます…。歴史的文献が残っておらず人類史の詳細がはっきりしない、いわゆる有史以前(数千年〜数万年前)については、歴史がはっきりしない以上、いかようにも書けるので、環境決定論でその頃の人類史を説明しても齟齬は出ないのですが、有史、西暦に入ってからの人類史を説明しようとすると、かなり無茶苦茶になっていますね。地理的環境が有利であり、文明のレベルが一定のステージに達した地域、すなわち農業生産と集権制を発達させた地域が中心となって人類文明は進んで来たという仮説は、人類史の主流な仮説として分かりますが、その後の、農業生産と集権制を発展させた文明間でも差が出来たのはなぜか、なぜエジプト地域やインド地域や中国地域が衰退してヨーロッパ地域が全世界を席捲したのか、ということについての仮説は、トンデモすぎるように思います…。
この本では、「ヨーロッパは地理的に戦乱が起こりやすく多数の小国が互いにあい争う弱肉強食の地域だったから戦争による淘汰によって進化した、中国は地理的に戦乱が起こりにくく何千年も平和だったから衰退した」ということが文明間に差が出来た理由になっていて、驚愕しました。なんじゃこりゃですよ…。発想が新自由主義的というか、ナチス的(ナチズムのテーマは弱肉強食の肯定)というか…。無茶苦茶です…。戦乱の差異は地理的要因よりも、圧倒的に人為的要因によるものが大きいと思いますが…。中国が何千年も平和というのも謎で、この作者さん、もしかしたら三国志(中国の三国時代)とかフビライ・ハーンのモンゴル帝国(元)とか知らないんじゃ…。それに戦争しまくってる国の方が文明が進化する(武器技術・軍事技術が発展して他国に対して優位に立つ)仮説というのもあまりにどうかと…。例えば300年間ずっと鎖国していて戦争を一切やっていなかった日本が、開国・明治維新後急発展した歴史的事例について、この仮説では説明つきませんよね…。
ちなみに本書では豊臣政権・徳川政権の日本が銃などの武器の個人所有を規制したのを「文明発展的に失敗」として捉えています…。本書の作者さんにとって、武器所有がフリーである現代アメリカが「文明発展的に成功」の国なんだろうなあと思いました…。本書全体に貫かれている「平和と穏健は文明を衰退させ、激しい競争と弱肉強食の淘汰によって文明は進化する」といった発想は全然科学的ではないと思います。右派の人達には受けが良さそうで、そういったところにこの本が高く評価されている鍵があるのかなとも思いますが…。
本書はありとあらゆることを地理的環境決定論で説明しようとして、メチャクチャになってしまっている本だと思います。なぜクレオパトラのエジプトがオクタヴィアヌスのローマ帝国に敗北したのか、などの問題を地理的環境決定論のみで説明しようとしても、それはどう考えても無理なんですが(人為的・偶発的要因を除いて人類史を考えることはできない)、そういった無理を無理矢理通そうとしている本ですね…。
特に、ヨーロッパが如何に世界の中心であるかということを無理矢理地理的環境決定論に押し嵌めて説明しようとして、結果、トンデモ本になってしまっています。人類の歴史は、歴史に影響を及ぼす人為的・偶発的要素が少なくとも本書で考えられているよりも遥かに大きいので、その点を鑑みて、ある種のSF的に楽しむなら面白い本ですが、学術書としては落第だと思いますね…。こじつけ的な仮説の連続で学術書としてみた場合、全然科学的でも論理的でもないです…。SF小説の技法として、何か一つのことを全世界規模に無理矢理当て嵌めて、その歪みを楽しむ技法がありますが、なんかそういったSF小説を読んでいるみたいでした…。
参考作品(amazon)
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
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体調が良くなく、あまり寝床から起き上がれず困っています。猫がにゃ〜んって鳴いているので遊んであげたいのですが、体力がなくて、起き上がるのも一苦労です…。
図書館で借りて少しずつ読んでいたジャレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄」読了。地理的環境決定論を使って世界の歴史を説明しようとした本ですが、環境決定論の弱点(環境を絶対的な前提として重視しすぎるあまり、人為的な出来事や偶発的な出来事を論に組み込めない)が思い切り出ていて、人類が発祥の地アフリカから移民してゆく数万年前について述べる前半はともかく、後半(西暦が始まって以後)になればなるほど苦しくなる本でしたね…。どうしてこの本が高い評価を受けているのか理解に苦しむ点がかなりありました…。歴史的に見た中国とヨーロッパの比較の部分など、無理矢理ヨーロッパを持ち上げるヨーロッパ中心主義が本書の仮説にあることは厳然としていますし…。先にも書きましたが、環境決定論は人為的・偶発的な出来事を組み込めないので、これで歴史を説明するのは学説として無理がありますね…。
教えて!goo
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa4720967.html
Q.環境決定論と環境可能論,どちらもいまいちよくわかりません。具体的な例とともに教えて下さい!ちなみに,今はどちらの考えが主流なんですか?よろしくお願いします。
A.地理的事象(産業、人口等々)が、環境によって決定されるというのが「環境決定論」。一方、環境はその可能性の幅を規定はするものの、具体的にどうなるかは別の要因で決まる、というのが「環境可能論」。
現在主流なのは、もちろん、環境可能論です。
分かりやすい例で言うと、北海道のコメ生産です。環境が全てを決定するなら、世界中の同様の気候の他の地域と同様、コメは作らず、ムギやトウモロコシなどを生産したことでしょう。しかし、現実は、日本で有数の米どころです。コメが好きな人が入植したため(あるいは、政府の食糧政策の誘導などもあって)、品種改良や栽培法の工夫を重ね、コメができるようになりました。
もちろん、いくら頑張っても、ツンドラではコメはできないでしょうから、環境は可能性に一定の枠をはめます。それが、「環境可能論」です。
この本は人類の歴史を環境決定論で説明しようとしていますが、色々無理がありすぎます…。歴史的文献が残っておらず人類史の詳細がはっきりしない、いわゆる有史以前(数千年〜数万年前)については、歴史がはっきりしない以上、いかようにも書けるので、環境決定論でその頃の人類史を説明しても齟齬は出ないのですが、有史、西暦に入ってからの人類史を説明しようとすると、かなり無茶苦茶になっていますね。地理的環境が有利であり、文明のレベルが一定のステージに達した地域、すなわち農業生産と集権制を発達させた地域が中心となって人類文明は進んで来たという仮説は、人類史の主流な仮説として分かりますが、その後の、農業生産と集権制を発展させた文明間でも差が出来たのはなぜか、なぜエジプト地域やインド地域や中国地域が衰退してヨーロッパ地域が全世界を席捲したのか、ということについての仮説は、トンデモすぎるように思います…。
この本では、「ヨーロッパは地理的に戦乱が起こりやすく多数の小国が互いにあい争う弱肉強食の地域だったから戦争による淘汰によって進化した、中国は地理的に戦乱が起こりにくく何千年も平和だったから衰退した」ということが文明間に差が出来た理由になっていて、驚愕しました。なんじゃこりゃですよ…。発想が新自由主義的というか、ナチス的(ナチズムのテーマは弱肉強食の肯定)というか…。無茶苦茶です…。戦乱の差異は地理的要因よりも、圧倒的に人為的要因によるものが大きいと思いますが…。中国が何千年も平和というのも謎で、この作者さん、もしかしたら三国志(中国の三国時代)とかフビライ・ハーンのモンゴル帝国(元)とか知らないんじゃ…。それに戦争しまくってる国の方が文明が進化する(武器技術・軍事技術が発展して他国に対して優位に立つ)仮説というのもあまりにどうかと…。例えば300年間ずっと鎖国していて戦争を一切やっていなかった日本が、開国・明治維新後急発展した歴史的事例について、この仮説では説明つきませんよね…。
ちなみに本書では豊臣政権・徳川政権の日本が銃などの武器の個人所有を規制したのを「文明発展的に失敗」として捉えています…。本書の作者さんにとって、武器所有がフリーである現代アメリカが「文明発展的に成功」の国なんだろうなあと思いました…。本書全体に貫かれている「平和と穏健は文明を衰退させ、激しい競争と弱肉強食の淘汰によって文明は進化する」といった発想は全然科学的ではないと思います。右派の人達には受けが良さそうで、そういったところにこの本が高く評価されている鍵があるのかなとも思いますが…。
本書はありとあらゆることを地理的環境決定論で説明しようとして、メチャクチャになってしまっている本だと思います。なぜクレオパトラのエジプトがオクタヴィアヌスのローマ帝国に敗北したのか、などの問題を地理的環境決定論のみで説明しようとしても、それはどう考えても無理なんですが(人為的・偶発的要因を除いて人類史を考えることはできない)、そういった無理を無理矢理通そうとしている本ですね…。
特に、ヨーロッパが如何に世界の中心であるかということを無理矢理地理的環境決定論に押し嵌めて説明しようとして、結果、トンデモ本になってしまっています。人類の歴史は、歴史に影響を及ぼす人為的・偶発的要素が少なくとも本書で考えられているよりも遥かに大きいので、その点を鑑みて、ある種のSF的に楽しむなら面白い本ですが、学術書としては落第だと思いますね…。こじつけ的な仮説の連続で学術書としてみた場合、全然科学的でも論理的でもないです…。SF小説の技法として、何か一つのことを全世界規模に無理矢理当て嵌めて、その歪みを楽しむ技法がありますが、なんかそういったSF小説を読んでいるみたいでした…。
参考作品(amazon)
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
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