ねこねこブログ

ねこねこと申します。ねこ大好き(*^^*)アニメ、マンガ、ゲーム、本とかも大好きです。楽しいことたくさん書いていきたいと思います。今、うつ病で無職で生活が非常に貧困困窮しておりまして、買い物してくださるととても感謝します。メールについてはこちらをご覧下さい。リンクフリーです。ツイッターはこちらです。https://twitter.com/kemohure

新作アニメ「鬼平」池波正太郎の「鬼平犯科帳」アニメ化だった!感動のあまり涙が…。ラノベ以外の優れた小説はアニメ化コンテンツのいまだ発掘されざる素晴らしき宝庫。

新作アニメ「鬼平」第一話視聴。アニメの第一話は全て事前情報全然入れないで片っ端から予約して見ているので知らなかったのですが、池波正太郎の「鬼平犯科帳」アニメ化だったんですね!原作大ファンなので嬉しい…。楽しすぎて既に3回も見てしまった。長谷川平蔵が「お前らのような悪党、裁きの時間も必要ない」とか渋い声で言うシーンとか感動のあまり涙が…。堀内賢雄さんの声が平蔵にぴったりでほんと良かった(でもどうしても平蔵の声を聞いていると結城中佐ァァァ!!って気持ちになる。江戸時代に転生した結城中佐だと思おう!史実上も結城中佐的キャラですし)。ああ…堀内賢雄ボイスの長谷川平蔵最高ですね。渋いよぉぉ…。渋い男性ボイスカッコよくて大好き!!もっとこういう声優さん(年配の渋くてダンディなボイスの声優さん)を活躍させて欲しい!!

ウィキペディア「長谷川宣以(長谷川平蔵)」
長谷川 宣以(はせがわ のぶため、延享2年(1745年) - 寛政7年5月19日(1795年6月26日))は、江戸時代中期の旗本。火付盗賊改方の長である火付盗賊改役を務めた。幼名はてつさぶろう、あるいはてつじろう)(てつは鉄の異体字)。家督相続後は父・長谷川宣雄と同じく平蔵(へいぞう)を通称とした。池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』の主人公「鬼平」として、日本の時代小説・時代劇ファンに知られている。(中略)

寛政元年(1789年)4月、関八州を荒らしまわっていた大盗、神道(真刀・神稲)徳次郎一味を一網打尽にし、その勇名を天下に響き渡らせる。また、寛政3年5月3日(1791年6月4日)には、江戸市中で強盗および婦女暴行を繰り返していた凶悪盗賊団の首領・葵小僧を逮捕、斬首した。逮捕後わずか10日という異例の速さで処刑している。

非常に有能だが、幕閣(特に前述の松平定信)や同僚(同じ火附盗賊改役の松平定寅・森山孝盛ら)からはあまり信頼されていなかったようで、出世はままならなかった。しかし的確で人情味溢れる仕事振りに、庶民からは「本所の平蔵さま」「今大岡」と呼ばれ、非常に人気があった。宣以も出世できないことを愚痴っていることもあったが、「越中殿(定信)の信頼だけが心の支え」と勤務に励んでいたという。

寛政7年(1795年)、8年間勤め上げた火付盗賊改役の御役御免を申し出て、認められた3ヵ月後に死去した。死の直前、11代将軍・家斉からねんごろな労いの言葉を受け、高貴薬「瓊玉膏」(けいぎょくこう)を下賜されている。

「鬼平」のようなこういう写実的なカッコいいアニメ、もっと増えて欲しいなあ…。「鬼平」と同じく池波正太郎の「剣客商売」、柴田錬三郎の「眠狂四郎無頼控」、司馬遼太郎の「燃えよ剣」、後は歴史を逆視点で描く山本周五郎の「樅ノ木は残った」、小林信彦の「裏表忠臣蔵」、中国歴史物の宮城谷昌光の「重耳」、ヨーロッパ歴史小説のバロネス・オルツィの「紅はこべ」、アルトゥーロ・ペレス・レベルテ「アラトリステ」とかアニメ化して欲しいなあ…。ラノベ以外の優れた小説はアニメ化コンテンツのいまだ発掘されざる素晴らしき宝庫なので(そしてラノベ原作アニメはテンプレハーレムアニメが多く、視聴を継続することが皆無なので…)、ぜひアニメ業界はこの宝庫の扉を開けていってほしいです。

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鬼平犯科帳〈1〉 (文春文庫)鬼平犯科帳〈1〉 (文春文庫)
著者:池波 正太郎
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剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)
著者:池波 正太郎
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眠狂四郎無頼控 (1) (新潮文庫)眠狂四郎無頼控 (1) (新潮文庫)
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燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)
著者:司馬 遼太郎
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燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)
著者:司馬 遼太郎
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樅ノ木は残った (上) (新潮文庫)樅ノ木は残った (上) (新潮文庫)
著者:山本 周五郎
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樅ノ木は残った (中) (新潮文庫)樅ノ木は残った (中) (新潮文庫)
著者:山本 周五郎
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樅ノ木は残った (下) (新潮文庫)樅ノ木は残った (下) (新潮文庫)
著者:山本 周五郎
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著者:宮城谷 昌光
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重耳(下) (講談社文庫)重耳(下) (講談社文庫)
著者:宮城谷 昌光
講談社(1996-09-12)
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著者:バロネス オルツィ
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早坂吝「誰も僕を裁けない」読了。上木らいち=ニャルラトホテプ星人説への確信。

エロミス&バカミスのオーソリティたる早坂吝さんのエロエロ女子高生娼婦探偵シリーズ「上木らいちシリーズ」の最新作「誰も僕を裁けない」読了。らいちシリーズの前二作(「○○○○○○○○殺人事件」「虹の歯ブラシ」)に比べると、物凄くエロ度と下品度が低下しており(らいちのエロシーンが非常に少なく淡白になっている感じです)、一般の人向けにソフィスティケイトされたらいちシリーズに仕上がっています。本作はほんとに普通のミステリになっており、前二作の読者としては驚かずにはおれないこの淡白さ、前二作のようなエロ&下品に相当度特化したミステリを講談社のメフィスト・レーベルで売るのは限界があったのかな…。殊能将之さんも「ハサミ男の秘密の日記」のなかで、自主的表現規制による手直しについて書いていますし…。

続いて、(メフィスト編集部の)Fさんはこう言った。

「それから、「マルサイ」「マルキ」はだめです。表現を変えてください」

これには少しびっくりした。

「ハサミ男」には犯罪心理分析官(プロファイラー)が登場するのだが、警察内では「マルサイ」「マルキ」と呼ばれている、という設定だった。初稿から引用すれば

 マルサイとは三年前に警視庁科学捜査研究所内に新設された犯罪心理分析官職を意味する内輪の呼び名だった。サイはサイコパス、すなわち精神病質者を指す。20世紀末から急激に増加した無動機殺人や快楽殺人に対応するため、警視庁が重い腰を上げたのだ。
〔……〕ノンキャリア組の一部では、犯罪心理分析官はマルキという明らかな蔑称で呼ばれていた。キはキじるしのキ、さらに言えば活字にすることがはばかられる四文字言葉の略である。以前、ある署の刑事がマルキ、マルキと連発していたことが週刊誌にすっぱ抜かれて、本人は厳重注意処分、署長が記者会見で陳謝する騒ぎがあって以来、この言葉は警察官にとって禁忌の一つとなっていた。

これはジョークのつもりだったのだが、まさか本当にダメ出しされるとは思わなかった。シャレにならない、とはこのことだ。

「キじるしはともかく、サイコパスもだめなんですか?」

「ええ、もうそろそろ使えなくなってきてますね」

Fさんは奥歯にものがはさまったような口調になって、

「つまり、精神障害者やその関係者の方々が実際にどう思うかではなくて、そうした言葉づかいをもとに講談社になんらかの攻撃をしかけてくるかもしれない人たちが存在するということが問題なんでして……」

さわらぬ神にたたりなし、ということわざが頭に浮かんだ。

そういえば、昔、小沢淳さんが小説に「四つ足」という言葉を使ったら、編集者から訂正を求められた、という話を聞いたことがある。あれも確か、講談社じゃなかったかな。その話をしながら、永田さんがえらく激怒していたのを覚えている。

しかしながら、わたしは編集者の大変さや苦労は少しはわかる身なので、「わかりました、じゃあ、なんか考えますよ」と答えてしまった。志が低くて、どうもすみません。(中略)

サイコパスが不可になったことはすでに書いたが、そのほかこんな表現を不適切と感じるらしい。

躁欝病患者のような〜
中小企業→小さな会社
〜は貧しい子供たちのようだ
日雇い
分裂気質

ところで、「サイコパス」は不可でも、「精神病質者」は可であるらしいのが不思議である。同じ意味なんだけどなあ。

編集部からの指摘以外にも、危ない言葉はなるべく減らした。(中略)第一、いかに表現に配慮しようが、「ハサミ男」を読んで怒る人は怒るのである。こういう発想自体が許せない、と感じる人は少なからずいるだろう。比喩的にいえば、「朝日新聞社からは出版できない小説」なのだ、これは。
(殊能将之「ハサミ男の秘密の日記」「殊能将之未発表短編集」より)

日本に表現の自由があるというのは幻想ですからね…。実際には日本は表現規制派の勢力が強い、世界で最も表現規制(自主規制を含めた表現規制)の厳しい国の一つな訳で…。特に、上木らいちシリーズのようなエロ描写表現は、最も規制を求められるジャンルの一つであって、そんな中、上木らいちシリーズは大手商業出版(講談社)から出ているミステリにおいて表現を最も頑張っている方だと思うので、これからも頑張ってほしいですね、応援しています。

「虹の歯ブラシ」講談社公式サイト
http://kodansha-novels.jp/1502/hayasakayabusaka/
早坂吝
「史上最もHな探偵再臨! 今回の帯はこれで行きましょう!」担当氏にそう言われた時、思わず苦笑してしまったが、事実その通りの内容なのだから仕方ない。上木らいち。どうしてこんなキャラクターを生み出してしまったのだろう。今まで出会った何人かの女性に影響されているような気もするが、真偽のほどは分からない。分からないと言えば、らいちが何を考えているのかもよく分からない。(デビュー前から九年間もらいち物を書いてきた)作者が今更何を言い出すのかと思われるかもしれないが、分からないものは分からない。その分からなさが本作を生んだような気もする。

個人的には上木らいちシリーズは漫画化orアニメ化してほしいミステリナンバーワンなんですが(アニメでらいちの姿が見たいと思っているファンは大勢いるはず!)、シリーズを通して、主人公である好色な美貌の女子高生にして娼婦らいちが高級娼婦的売春を行っているときに事件に巻き込まれ、色仕掛け等を使いながら事件を解決するという作風のため、エロ(お色気ではなくいわゆる本番行為)がシナリオ及びトリックの根幹を占めており、アニメ化とか漫画化が極めて難しそうなんですね…。地上波アニメの表現規制は昔に比べると厳しくなっていますから…。

ちなみに本作「誰も僕を裁けない」は、過去二作に比べエロ度は低下していますが格段とリーダビリティは向上している上に、正統派ミステリとしても極めて面白く、個人的な評価は高いですね。前二作は正統派ミステリとしては佳作ってところですが(「虹の歯ブラシ」はミステリというよりはSFとして傑作)、本作は間違いなく正統派ミステリとして傑作だと思います。ちなみに本作は凄くアニメ等の映像化と相性の良さそうな作品なんですが、一般作品におけるエロ表現に不寛容な日本じゃ映像化無理かな…。

本作は、作中でも指摘されているんですが、パズラー的な「物理トリック」と社会派ミステリ的な「社会的トリック」を上手く融合させていて、前二作に比べると格段とミステリとしてのレベルが上昇したと感じました。若手のメフィスト系ミステリ作家では井上真偽さんや早坂吝さんが好きな作家さんなんですが、井上真偽さんが処女作がぶっちゃけちょいと微妙だったのに比べると(一作目「恋と禁忌の述語論理」は記号論理学に興味がないと読み辛くて厳しい…)、二作目「その可能性はすでに考えた」から素晴らしく面白くなったことを本作を読みながら思い出しましたね。まさに作家として「男子三日会わざれば刮目して見よ」って感じで井上真偽さんは二作目から格段と面白い作品を書くようになったんですが、まさにそれに値するような面白さの長足の進歩を本作「誰も僕を裁けない」からも感じられましたね。

あと、完全な余談ですが、井上真偽さんの奇蹟シリーズ「その可能性はすでに考えた」「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」のメインヒロインである姚扶琳(ヤオフーリン)ぽいキャラがヒロインとして出てくる漫画が18禁漫画雑誌「ガールズフォーム第14号」に載っているので、エロ漫画と性描写に抵抗がなくて、奇蹟シリーズのファンなら読む価値ありだと思います。前述の雑誌に掲載の山畑瑠杏さんの「チャイナオークション」という18禁漫画に小琳(シャオリン)という名前で出てきます。上木らいちシリーズも、ファンフィクションとして同人誌などで漫画化されないかな…。閑話休題。

Girls forM vol.14Girls forM vol.14
著者:しおこんぶ
茜新社(2016-12-26)
販売元:Amazon.co.jp

ちなみに本作のトリック自体は「物理トリック」も「社会的トリック」もそんな珍しくないものなんですが(特に物理トリックについては隠す気ゼロで序盤でトリックに気が付くでしょう)、「社会的トリック」の方は、こち亀でたまにやっていたネタで懐かしかったですね。思わずこち亀の「敵もさるもの!!の巻」(こち亀2巻収録)とか読み返してしまいました。両方とも結構メジャー(物理トリックの方は大メジャー)なトリックを、上手く融合して叙述トリック的な騙しの手口を鮮やかに決めていて、非常に面白かったですね。

ただ、本作には一つだけ大きな難点が…。アマゾンレビュアーさんが指摘している通り、普通、未成年の犯罪は家裁送致ですよね…。その辺、作内できちんと家裁送致する手順にすべきだったかなと思います…。家裁送致でも全く普通に本書と同じく話は進んだ筈…。もしくは戸田公平を20歳以上の大学生にするとかでも良かった。まあ、現代日本とは法体制が異なるパラレルワールド日本だと思えばなんとか読めますが…。いずれ文庫で出すときは、ここのところは改定して欲しいな…。

誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)
「誰も僕を裁けない」アマゾンレビュー
あえてそうしているの?それとも無知?? 投稿者 三毛猫ポアロ 投稿日 2016/5/7
内容は楽しめたが。
ただ,日本には「少年法」という法律があり,20歳に満たない「少年」が刑事事件を起こした場合,まず警察や検察庁から家庭裁判所に事件(場合によっては身柄も)が送られ,家庭裁判所が大人と同じように刑事罰を与えるべきだと判断した場合にのみ,再び事件が検察庁に送られて刑事罰の対象(つまり起訴される)になるはず。従って,主人公の高校生が逮捕されて検察庁に身柄を送られたり,勾留されたり,当番弁護士を呼んだりする手続は正しいが,その時点で「略式で罰金」とはなりえない。

ちなみに、上木らいちの正体が何者なのかについては諸説ありまして(第四の壁を破れますし、「虹の歯ブラシ」から考えて、ただの好色な女子高生とかそういうことはないでしょう)、私は以前より「上木らいち=ニャルラトホテプ星人」であると推理していたんですが、本作により、この推理は確信に変わりましたね!髪が赤いことから「クトゥグア星人説」も考えられる訳ですが、いあいあ、これはミステリですよ。あまりにも分かりやすいダイレクトな提示はフェイクであると考えるべきでしょう!

ピクシブ百科事典「第四の壁」
第四の壁とは、演劇等において観客席(現実)と舞台(フィクション)の間に概念上存在する透明な壁である。 第四の壁は写実主義の出現とともに19世紀から発生した概念であるといわれる。

この第四の壁によって隔てられた現実の世界とフィクションの世界は、基本的には互いが互いに物理的影響を与えることのない、相互的な不可侵の領域である。

しかし、場合によっては演出的手法として、登場人物が現実側の存在である作品の受け手や制作者などの存在、あるいは自分たちのいるのがフィクションの世界であることを意識したセリフを喋ったり、突如観客に対して問いかけや語りかけをするなど、フィクション側から現実側への干渉が行われることがある。
このような演出を俗に「第四の壁を破る」と呼ぶ。

ピクシブ大百科「ニャル子」
問答無用の『這いよれ!ニャル子さん』の主人公。見かけは小柄な体格をした銀髪の美少女(一部ではアラサーという説あり)だが、クトゥルー神話に登場する「無貌の神」ニャルラトホテプであり、種族特性として容姿の変化は自由自在。つまりはどんなものでも変身できることになる。(中略)

ただし本作では「ニャルラトホテプ」とは種族名であり(つまり宇宙人)、小説という形で人類に記録されたニャルラトホテプとは別人である(本人曰く「自分はあれほど性格悪くない」)。

上木らいちの正体を考察する時に真に見るべきは、本作「誰も僕を裁けない」の32〜35頁、本作のラスト(某執事の運命)、そして「這いよれ! ニャル子さん」の最終巻である12巻のラストを読み比べるならば…!!上木らいち=ニャルラトホテプ星人という推理は確信に到達する!!

ピクシブ大百科「エナジードレイン」
エナジードレインとは、生きてる相手から生命力を頂く行為である。

ニャル子さんの最終巻以降の真尋くんの健康が心配です…。だからハス太くんにしておけば…(個人的趣味)

誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)
著者:早坂 吝
講談社(2016-03-03)
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虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)
著者:早坂 吝
講談社(2015-02-05)
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○○○○○○○○殺人事件 (講談社ノベルス)○○○○○○○○殺人事件 (講談社ノベルス)
著者:早坂 吝
講談社(2014-09-04)
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その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)
著者:井上 真偽
講談社(2015-09-10)
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聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)
著者:井上 真偽
講談社(2016-07-07)
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恋と禁忌の述語論理 (講談社ノベルス)恋と禁忌の述語論理 (講談社ノベルス)
著者:井上 真偽
講談社(2015-01-08)
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殊能将之 未発表短篇集殊能将之 未発表短篇集
著者:殊能 将之
講談社(2016-02-11)
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ハサミ男 (講談社文庫)ハサミ男 (講談社文庫)
著者:殊能 将之
講談社(2002-08-09)
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Girls forM vol.14Girls forM vol.14
著者:しおこんぶ
茜新社(2016-12-26)
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 2 (ジャンプコミックス)こちら葛飾区亀有公園前派出所 2 (ジャンプコミックス)
著者:秋本 治
集英社(1977-09)
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這いよれ! ニャル子さん 12 (GA文庫)這いよれ! ニャル子さん 12 (GA文庫)
著者:逢空 万太
SBクリエイティブ(2014-03-17)
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這いよれ!ニャル子さん 文庫 全12巻完結セット (GA文庫)這いよれ!ニャル子さん 文庫 全12巻完結セット (GA文庫)
著者:逢空 万太
SBクリエイティブ(2014-03-17)
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今期アニメ初回視聴前半。「正宗くんのリベンジ」が現代版金色夜叉なピカレスク・ロマンで面白い!ドンファンとレポレロ。

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今期アニメの初回を視聴致しました。うーん…一話切りアニメが多い感じかな…。そんな中、「正宗くんのリベンジ」が現代版金色夜叉なピカレスク・ロマンで抜群に面白い!まずは他のアニメから。

「青の祓魔師 京都不浄王篇」原作が面白いこともあり安定したクオリティのシリーズ物。視聴継続。

「AKIBA'S TRIP」作中でまとめサイトのステマをやっている為、色々と現実のゲーム系まとめサイトとの裏暗い関連性が見てとれて作品自体とは別に見ていて苦痛。一話切り。

「うらら迷路帖」ほのぼの百合萌え日常系アニメとして良い出来と思いますが、こういうアニメは興味の範囲外なので一話切り。余談ですが本作はおへそフェチ向けという極めて珍しいフェチ特化なのは驚いた。「フェティシズムはその時代・地域の禁制と関連する」(ノイズ「マゾヒズムの発明」)、今の厳しい地上波アニメ規制だと、おへそぐらいしか素肌を直接写すシーンが許されないということとおへそフェチは関連しているのでしょうね…。

「セイレン」アマガミ系恋愛物。興味の範囲外なので一話切り。

「スクールガールストライカーズ」原作がスマホゲーなこともあり世界観が分かりづらい。ゲームをプレイしていてキャラクターに思い入れがある視聴者の為のアニメという感じです。一話切り。

「幼女戦記」戦場において冷徹で優秀な前線指揮官が外見は幼女(中身は成人男性)という以外は、普通に「ファンタジー」+「ミリタリー」のありがちな戦記物な感じですね…。話が進んだら化けそうな気もするので視聴継続。

「正宗くんのリベンジ」これは面白い!完全に現代版金色夜叉(主人公のことを醜いとして蔑み捨てた高慢な財閥令嬢への復讐の物語)なんですが、現代版間貫一である復讐者の主人公の正宗が、復讐のために頼りにするのが、金色夜叉のようなお金ではなく「常に磨き上げている自身の美貌」という身一つでの勝負ところが非常に面白い。夜神月的な孤独な悪党の主人公ですが、夜神月と違い、超常的な力は一切ない世界で、自分の肉体の美貌を頼りに復讐を遂げていくというのは、まさに古典的ピカレスク!

努力により維持している自身の肉体的美貌を頼りに周囲を篭絡して復讐を遂げてゆく悪党主人公というのは古くからピカレスク・ロマンのセオリーなんですね。「セビーリャの色事師と石の招客」(ドンファンを描いた古典ピカレスク)などを読むと分かるんですが、こういった「色事師」は、自身のやっていることが反倫理的なことだと自覚した上で意志的にやっていますし、最終的には物語内においてその報いを受けることが多い。現実の人物の方のドンファン自体、晩年は美貌と財産を失って女性達に見向きもされず悲惨な最後(山田風太郎「人間臨終日記」)でしたし…。

ありがちなハーレム系アニメの主人公というのは、やっていることはドンファン的な「色事師」なのに、本人に「自身の悪」に対する意識が決定的に欠けているがゆえに、「次々と女を毒牙に掛けていくこと」自体が作品世界において「悪」とはみなされておらず、作品世界全体に「ほのぼのとした不気味さ」的な違和感があるんですが、本作の主人公の場合、自身の美貌を常に磨き上げて、それによって周囲を篭絡していくことに極めて自覚的であるので、きちんと「自身の美と悪」の意識があるところが古典的ピカレスク・ロマンを彷彿とさせて極めて面白い。また、復讐の手段が「努力によって磨き上げた美貌」ゆえに、ある種の変身譚でもあるところも見事。優れたミステリーの要素がありますね。

本作を見ていて、エド・マクベインの遺作、実に見事な彼の最後の小説「即興」とか思い出しました…。本作の主人公の変身はちょうど「即興」の男女逆位相になっている。周囲を欺く「変身」が最も必要とされるのは「復讐」と「殺人」な訳ですね…。

彼には一瞬、それがスーザンだということは分からなかった。

「化粧品と衣装は、キャラクターの表現に大いに効力を発揮するのよ」と彼女は言った。

いまや彼女はほっそりとした若い女だった。短くて真っ直ぐなブロンドに、赤いブラウスのはっとするような襟ぐりからのぞく素敵な胸もと。ぴっちりとした黒いミニスカートを穿き、見事な脚にはヒールの高い黒のパンプスを履いている。バーでかぶっていた茶色いカツラを右手からぶら下げ、左手を開いてウィルに向かって差し出したのを見ると、広げた掌の上に載っていたのは、彼女を出っ歯に見せていた義歯だった。開いたままのバスルームのドアから、あのむさ苦しい茶色のスーツがシャワーのタオルかけに吊るしてあるのが見えた。眼鏡は洗面台に置いてあった。

「ウェストの周りにちょっと詰め物をすれば、太めに見えるし」と彼女は言った。「こういった役立つ小道具はどれも教室にあるの」

もはや南部訛りがないことに彼は気付いた。さらに茶色い眼も。

「だけどきみの眼は…」と彼は言った。
「コンタクト・レンズよ」とスーザンは言った。

彼女のほんとうの眼はブルーで…そう、ジェシカの眼と同じような色をしていた。(中略)

「彼女はマクベスに、そんな意気地なしでどうすると言ってるわけ」とスーザンが言った。
「つまりね、彼らは王を殺そうと企てているわけよ、わかるでしょ」とジェシカ。
「これは二人にとって、私的な場面なの」
「自分達がやろうとしていることについて、じっくり考える場面ね」
「二人は人殺しを計画しているのよ、ねえ」(中略)

ジェシカが自分のグラスを高く掲げた。
「わかりましたわ」彼女は言った。「わたくしへの愛情はそんなに頼りのないものなのでしょう」

「乾杯」とスーザンが言い、グラスに口を付けた。
「どういうこと?」とウィルは言ったが、彼も飲んだ。

「舞台の台詞よ」とジェシカが言った。「実のところ、幕の最初の部分なの。彼が躊躇しはじめるところね。その幕の終わりまでに夫人は彼に、王には死んでもらわなければならないと納得させるの」

「偽りの心の企みは、偽りの顔で隠すしかない」とスーザンが言い、うなずいた。
「マクベスの退場の台詞よ。幕のおしまいのところの」

「君がファイル整理係のような格好をしていたのはそのせいなのかい?偽りの顔で隠す……だかなんだか、とにかくいま言ってたことのため?」

「偽りの心の企みは、偽りの顔で隠すしかない」とスーザンは繰り返した。「いいえ、違うわ。私が衣装を身につけていたのはそのためじゃないわ」

「それじゃどうして?」

「キャラクターを創りあげるための、私なりの方法ってことかしら」

「ねえ、このひとやっぱりわかってないのかも」とジェシカが言った。
「殺しのできるようなキャラクターってことよ」とスーザン。

「野暮ったい女にならなきゃダメだったのかい?」

「そうねえ、誰かほかの人間になる必要があったわ、ええ。私とは全然違う人間に。だけど、それだけでは充分じゃないことがわかったの。ふさわしい場所も見つけなきゃならなかった」

「その場所っていうのがここよ」とジェシカが言った。
(エド・マクベイン「即興」「ベスト・アメリカ・ミステリ クラック・コカイン・ダイエット」より)

本作で見事と感じたところは、サディストの財閥令嬢(ドンファンで言えば高慢な貴族令嬢の役柄ですね)に復讐するために自身の美貌という身一つでのし上がっていく色事主人公というピカレスク・ロマンの王道物語の上に、先に挙げた主人公の造形だけでなく、その周囲の役回りが上手い!

本作主人公の正宗はドンファン的、日本の作品で言えばデスノートの夜神月的な、復讐という目的の為に外面を常に偽装している、自分の内心は家族にすら秘密にしている孤独な内面を持つ主人公なんですが、そんな彼に純粋な好意を抱き献身的に支えるレポレロ(ドンファンの従者、彼を献身的に支える)的な役回りの人物が、美少年の朱里小十郎なんですね!これが素晴らしい。弥海砂的な人物(女性)ではないわけです。

フロイトや澁澤龍彦は安定した女性との関係を築けず女性を次々と乗り換えていくドンファン的人物(色事師・漁色家)に恋愛や結婚に対する反抗と男性同性愛的傾向があると分析していたと思いますが(漁色がその実は恋愛に対する反抗と表裏一体であると描くドンファン物語としてはホフマンの「ドン・ファン」が見事、漁色家の自身でも気付かない無意識的同性愛傾向を描いている点では岸田るり子「出口のない部屋」も上手くミステリ仕立てにしていて面白かった)、本作「正宗くんのリベンジ」もまさにそれを感じさせる、見事なドンファン元型物語の発展だと感じましたね。

ドンファンがマントを脱ぎ捨て、真紅の切りビロードに銀の刺繍のきらびやかな衣装ですっくと立つ。たくましい、見事な体格、顔は男性的で美しい。秀でた鼻すじ、炯々たる眼光、やわらかな形の唇。眉の上、顔の筋肉ひとすじの奇妙な動きが、一瞬、相貌にメフィストフェレスめいた雰囲気を添えるが、それも顔の美しさを損いはせず、かえって思わず背筋の寒くなる思いをさせられる。ガラガラ蛇さながらの魔力を持っているのか、魅入られたら最後、女達は彼から離れられず、不気味な力に捕えられたまま、われとわが身の破滅につきすすむほかないようだ。

ひょろりと背が高く、紅白の縞のチョッキに小さな赤マント、白い帽子に赤い羽根飾りをつけたレポレロが、彼のまわりをうろちょろする。(中略)

美しい女からさらに美しい女へとやすみなく渡り歩き、その魅力に飽満し身を滅ぼすほどに酔いしれるまで、燃え盛る熱情をもって遊蕩三昧にふけりながら、どの女を選んでもつねに期待を裏切られたと思い、いつかは満足のゆく理想の女を探しあてたいと望みつづける。だが最後には、地上の生全ては味気なく退屈だと思わざるをえなくなる。

そしておよそ人間というものを軽蔑し、人生最高のものと信じていたのにこれほどこっぴどく彼を裏切った恋という現象に反抗する。こうなると、女遊びはもはや官能の満足ではなく、自然と創造主への冒涜的な嘲笑となる。卑俗な人生観なんぞ糞くらえ、俺はそんなものは超越しているぞと感じ、自然が意地悪くも我々の胸のなかに忍びこませた崇高な願望は、幸福な恋とそこから生まれる市民的な結婚においていささかでも実現されると期待している人間どもを、せせら笑う。だから彼は恋だの結婚だのとくると、とりわけむらむらと反抗的になり、人間の運命を支配する未知の実在、それは彼にとっては、冷笑的な気まぐれで創ったみすぼらしい被造物をむごたらしくもてあそんでは、ざまみろと笑う怪物のように思えたのだが、その未知の実在にたいして、破滅を覚悟で大胆不敵な戦いを挑む。

花嫁を誘惑する、恋人たちに痛みの消えない打撃を与えてその幸福をぶちこわす、こういう行為ひとつひとつが、かの悪意ある力にたいする、自然にたいする、創造主にたいする、輝かしい勝利、窮屈な人生から彼を一歩一歩高みに押し上げてくれる勝利なのだ!
(ホフマン「ドン・ファン」「黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ」より)

セビーリャの色事師と石の招客 他一篇 (岩波文庫)セビーリャの色事師と石の招客 他一篇 (岩波文庫)
著者:ティルソ・デ・モリーナ
岩波書店(2014-04-17)
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ベスト・アメリカン・ミステリ クラック・コカイン・ダイエット (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1807)ベスト・アメリカン・ミステリ クラック・コカイン・ダイエット (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1807)
著者:エド・マクベイン
早川書房(2007-12-07)
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黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ (光文社古典新訳文庫)黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ (光文社古典新訳文庫)
著者:エルンスト・テオドール・アマデウス ホフマン
光文社(2009-03-12)
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金色夜叉 (新潮文庫)金色夜叉 (新潮文庫)
著者:尾崎 紅葉
新潮社(1969-11-12)
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著者:竹岡 葉月
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アマゾンギフト券をお贈りいただき心からありがとうございます。生活に困っていたので本当に助かります…。

アマゾンギフト券をお贈り頂き心からありがとうございます。生活に困っていたので本当に助かります…。お金を使わないように図書館で借りた本を読むぐらいしかしていなかったのですが、何かしらほかのことをやる気力が頂けた気持ちです。心から感謝致します…。

以前ご紹介したフリーゲームの傑作、「風雲相討学園フラット」の続編がいつのまにか出ていたんですね。早速プレイしてみたいなと思います。

「風雲相討学園フラット2」
http://www.geocities.jp/negativegang/flat2.html

自分の近況なんですが、週一回程度の頻度で図書館行って本の貸し出しと返却をして、帰りがけにスーパー等で日用品と食料を買う以外の外出を一切していない為か、かなり強度の不眠症に悩まされています。二週間に一度、病院にも掛かっているんですが、耳鳴りも併発している上に睡眠薬が効き辛いタイプの不眠症らしく、薬を飲んでもたいして眠くならないんですね…。薬を飲んで多少眠くなっても、眠れるところまでゆかず、何とか眠れても、二時間程度で目が覚めてしまうんですね…。身体を横にしているだけで休養になるとのことなので、目が覚めても横になっていることが多いです…。眠れないで横になっている時は三好豊一郎の詩「囚人」とか思い出しますね…。

三好豊一郎

「囚人」

真夜中 めざめると誰もいない――
犬は驚いて吠えはじめる 不意に
すべての睡眠の高さにとびあがろうと
すべての耳はベットの中にある
ベットは雲の中にある
孤独におびえて狂奔する歯
とびあがってはすべり落ちる絶望の声
そのたびに私はベットから少しずり落ちる
私の眼は壁にうがたれた双ツの孔
夢は机の上で燐光のように凍っている
天には赤く燃える星
地には悲しげに吠える犬
(どこからか かすかに還ってくる木霊)
私はその秘密を知っている
私の心臓の牢屋にも閉じこめられた一匹の犬がほえている
不眠の蒼ざめたvieの犬が

強度の不眠症には日中に外を歩いたり運動したりして太陽の光に当たると良いらしいのですが、季節柄非常に寒いこともあって、なかなか外出する気力が生まれなくて…。近いうちになんとか頑張って必要時以外にも外に出てみようと思います。

本当に重ね重ね、ギフト券ありがとうございます。アマゾンのアフィリエイトは毎月の収入が少なすぎて(このブログはユニークアクセス300程度でしてアフィリエイトは一月5000円以下です)、二ヶ月に一度支払われる形(5000円以下だと繰越になり総額5000円以上にになった時点で支払いが行われる)なので、ほとんど生活の足しにならず、ギフト券を贈って頂けると本当に生活が助かり、深く感謝します…。

三好豊一郎詩集 (新・日本現代詩文庫122)三好豊一郎詩集 (新・日本現代詩文庫122)
著者:三好豊一郎
土曜美術社出版販売(2015-04-10)
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「殊能将之 読書日記 2000-2009」読了、素晴らしい衒学趣味随筆集。メタパロディ衒学ミステリの超傑作「転落少女と36の必読書」を思い出しましたね…。

殊能将之 読書日記 2000-2009 The Reading Diary of Mercy Snow

殊能将之さんがオフィシャルサイトで書かれていた文章を纏めた随筆集「殊能将之 読書日記 2000-2009」読了。澁澤龍彦さんを彷彿とさせるような深く広い衒学趣味に満ちたエッセイの数々が堪能できる良書でした。二階堂奥歯さんの日記と同じく衒学趣味的ブックガイドとしても素晴らしい。既にネット上ではサイトが完全消滅しているため、このように紙の本として出してくれたことは本当にありがたいですね…。

伊藤計劃さんがオフィシャルサイトで行っていた映画評もサイトの消失によりネット上では全部読めなくなっておりますが、早川文庫にて全て出版されておりまして、こちらの全映画評も以前読みましたがとても面白かったです。

殊能将之さんや伊藤計劃さんや二階堂奥歯さんなど今は亡き文筆家のネット上で発表された優れた文章が、ネット上のデータが消失することで永遠に失われることを思うと(二階堂奥歯さんのネット日記「八本脚の蝶」は今もネット上で読むことが可能ですが、私は本で買いました)、紙の本に対する信頼というものを深くしみじみ感じますね…。

八本脚の蝶
http://oquba.world.coocan.jp/

紙の本は、デジタルデータと違い物質的存在なので、ネット上のデジタルデータのように突然消滅して二度と手が届かなくなるということは基本的にないという信頼感がある。勿論、本自体を破損や紛失することはありますが、その場合はもう一度購入したり図書館で借りたりという営みでリカバーできる。出版社は、ネット上の優れた文章が、作家の不慮の死去などで失われた場合などには、なるべくリカバーして、紙の本として出版してほしいなと思います…。

殊能将之さんの作品は、「黒い仏」が代表するように、ミステリーの生真面目な「ルール」を、より上位から覗き込むことで可笑しみとして味わうというところがあって、その上位者がニャルラトホテプだったりするので、前回のエントリ(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1919302.html)でご紹介した「呪われた人魚姫」などのクトゥルフ物に通じるところがありますね。その辺のエスプリが随筆(読書日記)でもたっぷりと味わえて、読んでいて実に楽しい本でした。殊能将之さんの随筆って、本当に澁澤龍彦さんの気ままに書いているときの衒学趣味全開の随筆に似てて、読んでいてほっとしますね。澁澤龍彦さん的随筆は、自分にとってはほっとするような馴染み深いものなんだなと気づかされました…。

殊能将之さん的な可笑しみを追求したメタ・ミステリとしては、有名な古典の作品名が付けられた各章がそれぞれ古典からサブカルチャーまであらゆる作品の無数の引用で散りばめられていながら、実はその引用の大半は虚構という「騙してくれたなあ!よくも騙してくれた!!」なメタ・パロディ衒学趣味・ミステリ「転落少女と36の必読書」が凄く面白かったですね。こんな感じです…。

『幸福なんて日向ぼっこをしている猟犬みたいなものだ。我々がこの世に生まれるのは、幸せになるためでなく、信じがたいことを体験するためだ』それは偶然にもパパのお気に入りの言葉の一つだった。コールリッジの言葉だけど、パパが聞いたら引用を台無しにしているとハンナに指摘しただろう。(中略)

パパが示した反応は、古代ローマ皇帝クラウディウスが西暦五四年に不穏な噂を耳にした時と同じだった。その噂というのは、愛する妻のアグリッピナが夫を毒殺しようと企て、夫の寵愛している宦官に毒入りのキノコ料理を運ばせようとしている、というものだった。でも、なぜか喰らうディウスは身に迫った破滅の兆しを無視した。「皇帝伝」(スエトニウス著 一二一)。パパも同じことをしたのだ。(中略)

スウィジンはその最後の作品、死後に出版された「いずこへ 一九一七」(一九一八)で述べている。「その結論とは、一般に『故郷』という名で知られる執拗で感傷的な熱病を完全に克服するのは不可能らしい、ということだ」
(マリーシャ・ペスル「転落少女と36の必読書」)

この本はとにかくもう、引用文のパッチワークで出来ていて、ページのうち80〜90%ぐらいが引用文でひたすら引用のパッチワークが続いたりするんですね。で、読んでいるとどう考えてもおかしい。あまりにも物語に都合の良い引用文のパッチワークの羅列で物語が展開していく…これはもしや、引用文は全部物語に都合よく書かれたフェイク(偽物)!

もう読んでいて「騙してくれたなあ!よくも騙してくれた!!」って感じですよ。書名や人名は大物(本物の書名や人名)が多いですが、その引用は全部偽物なんですね。ソーカルの偽論文「境界を侵犯すること:量子重力の変換解釈学に向けて」そしてソーカルの名著「知の欺瞞」をより大掛かりにして細分化したようなメタ衒学趣味小説なんです。

ウィキペディア「ソーカル事件」
ソーカル事件とは、ニューヨーク大学物理学教授だったアラン・ソーカル(Alan Sokal、1955年-)が起こした事件。数学・科学用語を権威付けとしてでたらめに使用した人文評論家を批判するために、同じように、科学用語と数式をちりばめた無意味な内容の疑似哲学論文を作成し、これを著名な評論誌に送ったところ、雑誌の編集者のチェックを経て掲載されたできごとを指す。掲載と同時にでたらめな疑似論文であったことを発表し、フランス現代思想系の人文批評への批判の一翼となった。

1994年、ニューヨーク大学物理学教授だったアラン・ソーカルは、当時最も人気のあったカルチュラル・スタディーズ系の評論雑誌の一つ『ソーシャル・テキスト』(Social Text)に、『境界を侵犯すること:量子重力の変換解釈学に向けて』(Transgressing the Boundaries: Towards a Transformative Hermeneutics of Quantum Gravity)と題した疑似論文を投稿した。

この疑似論文は、ポストモダンの哲学者や社会学者達の言葉を引用してその内容を賞賛しつつ、それらと数学や理論物理学を関係付けたものを装っていたが、実際は意図的にでたらめを並べただけの意味の無いものであった。ソーカルの投稿の意図は、この疑似論文がポストモダン派の研究者によってでたらめであることを見抜かれるかどうかを試すことにあった。

疑似論文は1995年に受諾され、1996年5月発行のにソーシャル・テキスト春夏号にそのまま、しかもポストモダン哲学批判への反論という形で掲載された。当時同誌は査読制度を採っておらずこうした失態を招き、編集者は後にこの件によりイグノーベル賞を受賞している。また後に査読制度を取り入れた。

「疑似論文」に用いた数学らしき記号の羅列は、数学者でなくとも自然科学の高等教育を受けた者ならいいかげんであることがすぐに見抜けるお粗末なものだったが、それらは著名な思想家たちが著作として発表しているものをそっくりそのまま引用したものだった。この「疑似論文」は放射性物質のラドンと数学者のヨハン・ラドン(Johann Radon)を混用するなど、少し調べると嘘であることがすぐ分かるフィクションで構成されている。(中略)

ソーカルの悪戯は、『一般向けのジャーナリズムと専門家向けの出版界に嵐のような反応を引き起こし』、 ニューヨークタイムズの一面に載ったほか、ヘラルド、ル・モンドなどの有力紙で報じられた。

その後、1997年、ソーカルは数理物理学者ジャン・ブリクモンとともに『「知」の欺瞞』(Impostures Intellectuelles、「知的詐欺」) を著し、ポストモダニストを中心に、哲学者、社会学者、フェミニズム信奉者(新しい用法でのフェミニスト)らの自然科学用語のいいかげんな使い方に対して批判を行った。

この本でソーカル達はジャック・ラカン、ジュリア・クリステヴァ、リュス・イリガライ、ブルーノ・ラトゥール、ジャン・ボードリヤール、ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ、ポール・ヴィリリオといった著名人を批判した。

彼らの多くはフランスのポスト・モダニストであるが、これはポスト・モダニストのみが科学知識を乱用していることを意味しない。ソーカルによれば、ソーカルにできるのはポスト・モダニストの批判だけだったので彼らを批判したのである。他の分野も同様に批判して欲しいという依頼を、その分野の周辺や若手の評論家達から受けることがあるが、『これは我々(=ソーカルとブリクモン)の手には余る』行為であった。

ソーカルのこのような一連の行動に対し、文芸批評家・法学者のスタンレー・フィッシュは学術論文のでっちあげには破壊的な影響があるなどと反発した。 しかし、ソーカルの真意は思想家が数学や物理学の用語をその意味を理解しないまま遊戯に興じるように使用していることへの批判だった、と後にコメントしている。

学術論文とは違い、明らかに「エンターテイメントなパロディ」として衒学趣味を洒落のめしている本書は読んでいると、偽と分かっていても、偽の引用文の数々が凄く面白くて、全て偽物だって分かっているのについつい引用の数々を夢中で読んでしまう。本書は権威主義や文芸教養や衒学趣味を思い切り風刺しているメタ・ミステリなんですが、それだけでなく、偽物の衒学趣味を語りつくすことで衒学趣味の面白さというものもまた最高度に見事に語りつくしている『衒学大辞典(偽)』みたいな怪しげなメタ・ミステリなんですね。日本で言うと筒井康隆の「乱調文学大辞典」「欠陥大百科」とか清水義範の「世界文学全集」に近い感じですね。ヤマザキマリさんの「プリニウス」とかも彷彿とさせますね。

ヤマザキマリ
「もちろんプリニウスは『偉大な博物学者』ですが、それだけでなくて『偉大なほら吹き』でもある。総じてかなりお茶目な人物だったはずです」

とり・みき
「その好奇心のあり方が、なんだか男の子っぽい。嘘だと分かりつつシャレで喋っていることも多分あるよね(笑)」
(ヤマザキマリ、とり・みき「プリニウス1」)

ちなみにこの本はアメリカで大ベストセラーになりました。アメリカ人の読書層って凄いなと思いましたね。この本は、私のような衒学趣味者でパロディ大好きなパロディスト向けに完全特化している高度に捻くれたメタパロディ小説なので(相当に広範な衒学趣味がないと無数のパロディのネタが分からない)、これの面白さが分かる人が大勢いるというのは、アメリカの読書層っていうのは相当に捻くれた高度なメタパロディ衒学趣味小説の面白さが分かる人がベストセラーになるぐらい大勢いるってことで、凄く驚きました。2006年のニューヨークタイムズ選出のベスト5小説にも選ばれてもいるんですね。こういう現代文学の洒落の果ての極致みたいな小説がベストセラーとか、アメリカの読書層の計り知れない深さと広がりを感じましたね…。

まさしく「パロディ」は、その分野のなかでの作者と読者の知恵くらべという様相を帯びるし、「教養を持たざるものを排除する性格を持つ」「いささか偏屈な知性に由来するもの」(呉智英「現代マンガの全体像」)であることが実感できよう。そして、このような遊戯が可能となるためには、作品をある程度突き放して見ること、単なる知識、情報として見る冷静さが要求される。信仰の篤いキリスト教徒には「聖書」のパロディはできないだろう。
(浅羽通明「天使の王国」)

作者のマリーシャ・ペスルは一九七七年、アメリカのミシガン州生まれ。三歳のときに両親が離婚し、妹と共に母親のもとで育った。母親は大変な読書家で、娘たちが子供の頃から西洋の古典を読み聞かせていたという。ペスル自身、インタビューで「ゴシック小説やヴィクトリア朝時代の小説をたくさん読んで育った。最も影響を受けたのはナボコフで、『ロリータ』は何度も読み返し、読むたびに新たな発見をした」と語っている。
(マリーシャ・ペスル「転落少女と36の必読書」訳者あとがき)

この本の作者のマリーシャ・ペスル(女性作家です)はこの本が処女作なのですが、日本だと有名な無数の古典の名前で権威付けしながら、それら古典等からの引用の全てが完全な偽物引用のパッチワーク小説とか、筒井康隆クラスの大物じゃないと出版すらできなさそうです…。本書は残念ながら日本では売れませんでしたが、非常に面白いメタ小説です。最高にお勧めですね。このブログを読んで下さっている皆様でしたら、きっと楽しめる小説と思います。

さて、電話で、パパは自分の質問に自分で答えた。小さいけど耳障りな声が受話器越しに伝わってきた。

「我々には、物事の真の本質がまったくみえていないからだ」
(マリーシャ・ペスル「転落少女と36の必読書」)

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転落少女と36の必読書(下)転落少女と36の必読書(下)
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殊能将之 読書日記 2000-2009 The Reading Diary of Mercy Snow殊能将之 読書日記 2000-2009 The Reading Diary of Mercy Snow
著者:殊能 将之
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殊能将之 未発表短篇集殊能将之 未発表短篇集
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「知」の欺瞞――ポストモダン思想における科学の濫用 (岩波現代文庫)
ハサミ男 (講談社文庫)
黒い仏 (講談社文庫)
八本脚の蝶
Running Pictures―伊藤計劃映画時評集〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)
Cinematrix: 伊藤計劃映画時評集2 (ハヤカワ文庫JA)
伊藤計劃トリビュート2 (ハヤカワ文庫JA)
乱調文学大辞典 (角川文庫)
筒井康隆コレクションIII欠陥大百科
普及版 世界文学全集〈第1期〉 (集英社文庫)
普及版 世界文学全集〈第2期〉 (集英社文庫)
天使の王国―平成の精神史的起源 (幻冬舎文庫)
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フリーゲーム「呪われた人魚姫」とクトゥルフ神話的時間。時間を超越した存在と時間に縛られる人類種、小林泰三「大いなる種族」

超時間の闇 (The Cthulhu Mythos Files)

今回は前回の「呪われた人魚姫」エントリ(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1919217.html)の続きです。本作「呪われた人魚姫」の非常に優れた点として、時間の概念がきちんとクトゥルフ神話的であることがあげられます。クトゥルフ神話の特徴は、茫漠と続く果てしない時間と空間において、人間一人の一生は儚く、同じように人類種ホモ・サピエンスの歴史もまた一瞬であり儚いということが挙げられるんですね。

呪われた人魚姫
http://www.freem.ne.jp/win/game/13438

荒俣宏
「ラヴクラフトの書いているいろんな小説のパターンというのは、だいたい宇宙からいろんな生物が、まあその生物を彼は「旧人類」(旧支配者)と呼ぶわけですけれども、それが地球に入植してきて、なんらかの関係で――主として地球の地殻変動ですが、その辺は生物学的というか進化論的だと思うんですけど、とにかくそれによってうまく入植できてしまうけれど、地殻変動によって死滅していくという展開になります。(中略) 次々に(地球において覇権を握る種の)世代が交代していくというパターンで、その路線が人間まで(人間が滅んだ後の次々の種まで)つながっている」
(ユリイカ「ラヴクラフト」より「荒俣宏・笠井潔対談」)

この辺をきっちり描いている現代クトゥルフ神話作品というのは実は結構少ないんですね。本作はその点をきちんと描けている作品であることは特筆すべきことでしょう。本作においては、生命活動を外部から破壊されない限り不死であるディープ・ワン(深きもの)と、寿命により死を免れぬ人間(人類種)の決定的な差異を「時間感覚」として捉えている。これはラヴクラフトの原典に非常に近い発想で見事としか言いようがありません。

本作において、ディープ・ワンがやろうと思えば人類を壊滅させたりできるのにも関わらずあまり動かないこと、本作の中で、ディープ・ワンと人間の混血(ダゴン秘密教団)と、人間達が戦い後者が勝って前者を殲滅したのに、なぜディープ・ワンは人間に復讐したりしないのかについて、不死であるディープ・ワンと、死の定めに支配され、いずれは滅びるであろう人類種では、時間感覚が全く違うことを挙げている。

数千万、数億の年月を生き続ける不死の存在にとってみれば、人類種は地上にいつのまにか蔓延っているが、数千か数万の年月が経てばまた地上から全て消え去っているであろう塵芥に過ぎないことが明かされている。ゆえに、人類種とは時間感覚が全く異なる彼らにとっては、人類が今滅びようが数千年後に滅びようが数万年後に滅びようがたいして違いがないゆえに、人類はクトゥルフの眷属達から放置されているのだと語っていて、まさにこれはクトゥルフ神話の醍醐味だと感じましたね。

クトゥルフ神話の根源はまさにこれで、人間の生が数十年であり儚いように、人類種の種としての寿命も儚いもの(長く見積もっても数百万年。実際にはもっと短いでしょう。人間は技術によって自分の種を自分から急速に滅亡させられる自滅ができるので、今後もし不測の事態が起これば数百年、数千年すら危うい)であり、不死にして超越的な高次元存在(クトゥルーやアザトースやニャルラトホテプのような存在)や人間と物理的に同次元にいるが不死であったり時間を超越したりしている存在(ディープ・ワンやイースの大いなる種族)からしてみれば、いつのまにか地上に蔓延りいつのまにか消えている無数の種族の一つに過ぎないのですね…。

この惑星(地球)が経てきたほとんど知られていない茫洋たる歴史において、人類が、高度に進化した支配種族の一つ――おそらくは最小の種族――にしか過ぎないということなのだ。
(H・P・ラヴクラフト「時間からの影」「ラヴクラフト全集3」より)

ラヴクラフトの原典の中で既に人類種はたいして長続きしない地球の無数の覇権種族のうちの最小(この最小はおそらく種の寿命のことと思われる)の種族の一つに過ぎないって語られているんですね。この圧倒的な無常観を考えると、クトゥルフ神話で人類種が英雄的に振る舞うヒロイック・ファンタジーな展開をやっている作品は「虚しい…」って気持ちにどうしてもならざるを得ないですし、逆に本作のようにこの無常観を物語から醸しだしている作品は、クトゥルフ神話の真髄、メメント・モリを感じて良い作品であると感じますね…。

ちなみにこの「人類種を含む地球の無数の種の絶滅による種族交代の果てしない繰り返し」はラヴクラフトがクトゥルフ神話の基底として埋め込んだものなので、ここから脱するというのは凄く難しいんですが、この、ラヴクラフト神話の基底に挑んだ作品が日本にはあるんですね。それは、以前取り上げました「超時間の闇」(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1910576.html)に収録されている小林泰三さんの「大いなる種族」です!!
超時間の闇 (The Cthulhu Mythos Files)超時間の闇 (The Cthulhu Mythos Files)
著者:山本 弘
創土社(2013-11-07)
販売元:Amazon.co.jp

この作品は、クトゥルフ神話の中でもエポックメーキングな作品だと個人的には思っていて、先に挙げた「人類種を含む地球の無数の種の絶滅による種族交代の果てしない繰り返し」における人類種の役割を「最小の種族」という点はそのままに(時間の流れの中で人類の滅亡は避けられない)、それでいて見事にクトゥルフ神話全体を上手くひっくり返したような形で、人類と言う存在が、アザトースらと同じように、ある意味の永遠の中に入ることが出来た世界を描いています。イースの大いなる種族と人類との関係を描いた小説作品の中において最高傑作だと思いますね。「大いなる種族」はぜひご一読をお勧めする、「呪われた人魚姫」と並んで見事なクトゥルフ神話作品です。「大いなる種族」は小林泰三さんの初期傑作「酔歩する男」の続編にもなっているので、「酔歩する男」を読まれたお方々にもお勧めです。

青空文庫 「時間からの影」(H. P. ラヴクラフト The Creative CAT 訳)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001699/files/57342_57668.html
「時間からの影」の他に「超時間の影」とも訳されています。たしかコリン・ウィルソンの訳にあった「時からの投影」というのも、「と」音の頭韻(←これも頭韻だ)が好みです。「チャールズ・ウォード」を訳しながら、こちらもなんとか訳してみたいと思っていました。
 
同じ主題を繰り返しながら、最後の一文目がけてじわじわとサスペンスを盛り上げる手法が最高です。そればかりではなく、「ああ自分もイースの円錐生物になって図書館に籠り、永遠に本を読み宇宙と時間の果てのことを知りたい」と思うのは私だけではないでしょう。時代閉塞の昨今、このようなコンテンツを最後まで読まれた方もきっと同じなのではありませんか?

ラヴクラフトは、自身も読書家であったゆえに、図書館のシステムや図書館の司書さんや図書館に通う人々(読書家の人々)にはそこはかとない好意を抱いていたようで、延々と宇宙的な図書館に篭って宇宙の始まりから終わりまで存在し続けて永遠の読書と研究に種族生命を捧げている「イースの大いなる種族」にはその辺のラヴクラフトの気持ちが反映されていると言われるので、「時間からの影」「大いなる種族」を読むときはその辺のことも頭に入れながら読むとより楽しめると思います。

超時間の闇 (The Cthulhu Mythos Files)超時間の闇 (The Cthulhu Mythos Files)
著者:山本 弘
創土社(2013-11-07)
販売元:Amazon.co.jp

玩具修理者 (角川ホラー文庫)玩具修理者 (角川ホラー文庫)
著者:小林 泰三
角川書店(1999-04)
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ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))
ラヴクラフト全集 (2) (創元推理文庫 (523‐2))
ラヴクラフト全集 (3) (創元推理文庫 (523‐3))
ラヴクラフト全集 (4) (創元推理文庫 (523‐4))
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クトゥルフ神話RPGの大傑作「呪われた人魚姫」ご紹介。「アーカム計画」等を彷彿とさせる原典とTRPGを見事に発展させた良質なRPG!

ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

正月そうそう、風邪気味で生活費も切り詰めておりあまり調子がよくないです…。寒いので皆さんもお体にお気をつけ下さい。今回は、クトゥルフ神話RPGの大傑作「呪われた人魚姫」をご紹介しますね。前回のエントリでも軽く触れましたが、この作品は極めて優れた傑作でして、ついにネットの色々なところで取り上げられ始めて、ふりーむのDLランキングも現在TOPを独走しておりますね。本作には優れた前作「黒山羊と幸福の姫」があるのですが(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1892117.html)、それを更に発展させてシナリオ・バトル・システム・遊びやすさなどあらゆる面でパワーアップさせた大作が本作と言えると思います。

呪われた人魚姫
http://www.freem.ne.jp/win/game/13438

黒山羊と幸福の姫
http://www.freem.ne.jp/win/game/10456

本作「呪われた人魚姫」は、「インスマスを覆う影」「ダゴン」「クトゥルフの呼び声」等のクトゥルフ神話の原典及びクトゥルフTRPGに準拠して、現代を舞台に壮大なコズミック・ホラーを描き出すクトゥルフ神話RPG。クトゥルフ作品に出てくる「ダゴン秘密教団」がメインテーマになっているんですが、極めて精緻に原典に沿った形を発展させてシナリオにしているため、ラヴクラフティアンがプレイすると全編通して思わずニヤニヤしてしまうことを抑えられないでしょう。良い意味でマニアなラヴクラフティアンが製作した作品という感じです。クトゥルーな終わり方とか思わずニヤリ。

勿論、物語だけでなく、あらゆる面が前作より遊びやすくなっているんですね。特に良くなったのが戦闘でして、本作の戦闘の大きな特徴は「戦闘バランスの調整が丁寧」なことと、「ヒトコロスイッチ」の導入です。前作と本作は両方とも「回復手段が有限」というシステムを導入しており、戦闘バランスは前作はかなり高めで、回復アイテム稼ぎのために雑魚を延々と狩るとかしないときついところもあったんですが、本作はバランスが極めて丁寧に調整してあり、普通にプレイしていけば、最後までクリアできると思います。ただ、スキルの「挑発」「大防御」「駆け回り手当」及び「呪文」各種は全員に覚えさせていないと一部のボス戦闘で詰む可能性があるかなとは思いました。

ただ、そんな詰み防止措置として本作にはアイテム「ヒトコロスイッチ」が実装されており、これは使うとどんな敵だろうと(ボスだろうと裏ボスだろうとやりこみボスだろうと)、一撃で全滅させる無限使用可能な究極アイテムです。どんな状況下でも「ヒトコロスイッチ」で逆転できるので、いざとなったらこれを使えば詰みはありません。本作は大きく分けて三通りの展開(三人いる仲間候補のうち、誰を仲間にするかで展開が色々変わってくる)が楽しめるので、一周目は普通にスイッチを使わずにクリアして、2週目からはスイッチを使用して気楽にプレイがお勧めですね。

キャラクターもとても魅力的で、本作のように原典を重視するクトゥルフ作品は、ややもすると、よく言えば重厚、わるく言えば堅苦しく重苦しい作品になってしまうこともあるんですが、本作は前作からさらにパワーアップした魅力的なキャラクター達のフレンドリーな掛け合いが楽しく、クトゥルフ神話の重苦しさを上手く中和して親しめる作品にしている。アトラスの「ペルソナ」シリーズとか彷彿とさせますね。

また、物語自体は非常に本格的なクトゥルフ物で、話がどんどん壮大に広がっていくところとか、クトゥルフ物の傑作「アーカム計画」とかプレイしながら思い出していましたね。人間は万物の霊長などといっておごり高ぶっているが、それこそ、地球規模から見ればちょっとした地殻変動などでも、人類全体があっさりと壊滅してしまうくらい脆弱な、地表にへばりついている存在に過ぎず、地球規模の災厄から見れば、それは路傍の石ころのようなものなのだ、というクトゥルフ神話の根幹的主題「宇宙的恐怖」を、上手くシナリオに反映させている。個人的にはクトゥルーエンドが凄く良かったですね。まさにクトゥルフ神話って感じでしたよ!

驚異と栄光に包まれながら永遠に其処でダゴンやクトゥルフに奉仕し続けるだろう。世界が滅びるまで…。

………(中略)………

貴方たちは永遠に取り返しのつかない選択をしたよ。その報いは想像を遥かに上回る絶望となって降りかかる!
(呪われた人魚姫)

クトゥルフ神話の最大の特徴は、アンチ・ヒロイックなことなんですね。それはヒロイック・ファンタジー的な「勇者が世界を救う」とは対極にある世界観。人間が如何に動こうとも、地球規模、そして宇宙規模の災厄の前では何をしても何の意味もない、何にもならないのだという、世界に対する正確な認識を重視する世界観なのですね。本作はその点が凄く良く描けていて感服致しましたね。この点においては、クトゥルフ要素は大きいながらもヒロイック・ファンタジー的な方向に大きく引きずられているペルソナシリーズよりも、よりクトゥルフ神話の原典に本作の方が近いと言えると思いますね。

笠井潔
「世界はどんどん合理化されていくという近代の力を、いわば認めまいとして、もうひとつの異世界というか、ワンダーランドというかな、そういうものをつくりあげようとする水準からいったんそれを全部認めちゃった上で、その裏側のところを引っくり返して出していくというふうな、そういう怪奇小説の歴史の中の新しい水準というのはラヴクラフトがつくったんじゃないかなという気がしますね」

荒俣宏
「そうですね。トールキンだとか、あるいはいまファンタジーだといわれている異空間と(クトゥルフ神話が)ぜんぜん違うところはその辺なんですね。あれ(トールキン等のファンタジー)はどんどんどんどん(現実世界と幻想世界が)離れていくから、つまりお互いにお互いを影響するということはまずないわけだけども、ただ影響されるとしたら、そのどっちかに、あるいは両方にまたをかけて、人間がどっちかを選択すればいいだけの話なんだけど、ラヴクラフトなんかがつくっていった異次元あるいは異世界というのは、ぜんぜん思想を異にしているんですね。

自分がなにをやろうが必然的にその世界(クトゥルフ神話)へ巻き込まれていってしまう世界。こういう一元性をもつ点がラヴクラフトの小説で非常に特異な点だと思う。(中略)

(ヒロイック・ファンタジーにおいては)人間がある意味の力を発揮できるんですね。人間がある意図のもとになにかをやれば、少なくともそれは、その世界の中ではある影響を及ぼすという構図になっているわけだけれども、ラヴクラフトの中は全然そうじゃない。人間は何をやっても徹底的にだめな存在だ。だから、ただひたすら恐がっているだけで、ただ恐がっているだけの存在を一生懸命書いたというのは、あれはちょっとすごいと思うんですけどね。

つまり彼の場合はあらゆる怪物の限定条件というものをみんな取っ払って、とにかく宇宙は飛べるわ、昼でも夜でもかまわずやってくるわ、古代でも太古でも未来でも全然関係なくやってくるわ、たとえそれがどんな状態にあっても、とにかくその気になれば、いつでもなんかできる、という状態になっている。(中略)

ラヴクラフトがなにやっているかといえば、宇宙の無目的性について説く。あの人はすぐアインシュタインとド・ジッターが出てくるんですけどね。つまり、宇宙のマクロのレベルでは地球というのは大したことなくて、どうせフラフラフラフラしている状態であるから、我々は何をやってもしようがないんだ、という話をえんえんとやっている。(中略)

たとえば、(ラヴクラフトは)ニューヨークとかボストンの地下鉄なんかも喜んで描いている。ボストンの地下鉄の中にさえ怪物が出てくるという構造にどんどん入れ替わっていっちゃう、というところが非常にアメリカ的だと思うんですけどね。そのポイントというのが、彼とヨーロッパの、あるいは世紀末に出てきた幻想文学の基本路線と外れている根本的な問題点だと思うんですね。(中略)

ラヴクラフトにとってはイデアというものは全くなくなっているという、イデアのぶちこわしの運動であると思う」

笠井潔
「逆イデアになっているんだよな」

荒俣宏
「それは大きな要素だと思いますね。ラヴクラフトを読んでて、ものすごくなんか殺伐とした感じがする原因のひとつはそのへんにあると思いますね」

笠井潔
「(ラヴクラフトの小説には)いるのかな、善い神様ってのが」

荒俣宏
「いや善神というのは、あまりラヴクラフトの段階では出てこないですね」

笠井潔
「人間を守ってくれるような超自然的な力ってのはないわけだ」

荒俣宏
「人間を守ってくれる力という意味では、だから自然の気粉れだけなんですね。そういう意味ではある意味の神性なんだけれども……」

笠井潔
「人格的に分離されてはいない」

荒俣宏
「人格的にはないですね」

笠井潔
「それが全然ないっていうのは面白いな」

荒俣宏
「そういう点ではラヴクラフトなんか徹底的に突き詰めた人なんではないですか。逃げは一切打たなかったと思う。で、愛は信じていなかったからね。あの人(ラヴクラフト)については」

笠井潔
「愛で救われた主人公って一人もいないもんね」(中略)

荒俣宏
「ラヴクラフトの書いているいろんな小説のパターンというのは、だいたい宇宙からいろんな生物が、まあその生物を彼は「旧人類」(旧支配者)と呼ぶわけですけれども、それが地球に入植してきて、なんらかの関係で――主として地球の地殻変動ですが、その辺は生物学的というか進化論的だと思うんですけど、とにかくそれによってうまく入植できてしまうけれど、地殻変動によって死滅していくという展開になります。(中略)

次々に(地球において覇権を握る種の)世代が交代していくというパターンで、その路線が人間まで(人間が滅んだ後の次々の種まで)つながっている」
(ユリイカ「ラヴクラフト」より「荒俣宏・笠井潔対談」)

この惑星(地球)が経てきたほとんど知られていない茫洋たる歴史において、人類が、高度に進化した支配種族の一つ――おそらくは最小の種族――にしか過ぎないということなのだ。
(H・P・ラヴクラフト「時間からの影」「ラヴクラフト全集3」より)

こういう、クトゥルフ神話の原典に近いゲームがやれるのは、本当にフリーゲームならではの醍醐味ですよね。クトゥルフ神話って元来「世界に対する正確な認識を重視するアンチ・ヒロイックの物語」ですから、元々あまり大衆受けはしない系統のシェアード・ワールドなんですね。大きく大衆受けする物語と言うのはどうしても「ヒロイック・サーガ(善が勝ち悪が敗北する英雄物語)」の方向になりますから…。クトゥルフ神話の、人間の決めた善悪を超えた地球的、そして宇宙的な災厄の前では人間の営為は全く意味を為さないという暗い諦念に充ちた世界観をきちんと継承した本作のような作品を、開発費が年々膨れ上がっている商業コンピューターゲーム業界できちんとやるのは中々難しい状況と思います…。

クトゥルフの原典にきっちりと沿った新しいクトゥルフゲームというのは、まさに本作「呪われた人魚姫」のように、個人や少人数制作の良い意味で趣味的なゲーム製作から生まれてくるんだろうなと、プレイしていて感じましたね…。

「呪われた人魚姫」、ラヴクラフトの世界観に魅惑を感じる者として、最高に素晴らしい作品でした!ぜひプレイをお勧めする大傑作です!!

最後に余談ですが、本作ではハトホ姉さんとクリスFBI副長官の日米警察官コンビが一番お気に入りでした(ハトホ姉さんはおっとりした真面目で天然ボケなお姉さんのように見えてときどき冒涜的発狂するのが思わず吹く。名前からするとハトホル女神と何か関係があるのかな?)。ぜひ次回作では、ハトホ姉さんとクリス副長官と「黒山羊と幸福の姫」に出てきたロシアのフィグネリア捜査官で、日米露警察パーティーが組めるようにしてほしい!!両方の作品をプレイした方ならお分かりになると思いますが、水と油のような関係のクリス副長官とフィグネリア捜査官の会話が凄い見てみたいです!!

アーカム計画 (創元推理文庫)アーカム計画 (創元推理文庫)
著者:ロバート ブロック
東京創元社(1988-11)
販売元:Amazon.co.jp

ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

ラヴクラフト全集 (2) (創元推理文庫 (523‐2))

ラヴクラフト全集 (3) (創元推理文庫 (523‐3))

ラヴクラフト全集 (4) (創元推理文庫 (523‐4))

ラヴクラフト全集〈5〉 (創元推理文庫)

ラヴクラフト全集〈6〉 (創元推理文庫)

ラヴクラフト全集7 (創元推理文庫)

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ラヴクラフト全集〈別巻 下〉 (創元推理文庫)

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あけましておめでとうございます。フリーゲーム・オブ・ザ・イヤー2016。S・ハンター「我が名は切り裂きジャック」読了。

我が名は切り裂きジャック(上) (扶桑社ミステリー)
我が名は切り裂きジャック(下) (扶桑社ミステリー)

2017年あけましておめでとうございます。自分はお金が無くて大変困っており、おめでたさを感じられる状況ではないのですが、全ての人になって少しでも良い年になってほしいと願いますね…。
フリーゲーム・オブ・ザ・イヤー2016
http://www.freem.ne.jp/special/project/31

新年の初ネットでは上記のフリーゲーム・オブ・ザ・イヤー2016を見たのですが、これは2015年12月21日〜2016年12月20日のふりーむDL数総集計なので、2016年の後半に出たゲームが集計的に不利で、全然ランキングに入ってないですね…。2016年のマイベストゲームは以前ご紹介致しました「芥花」(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1918473.html)なんですが、ランキングに入っていない…。「芥花」は本当に稀に見る傑作なので、ぜひプレイして欲しい作品ですね。2016年後期に出た為にランキングに入っていないフリーゲームの傑作としては以前ご紹介した「バケモノハイツ」「待チ人来たる2」「祭囃子が鳴り止むまで」等の他にも「呪われた人魚姫」(優れたクトゥルフ神話作品です)とか「人間レンジ」(ショッキングホラー短編の秀作)とか「宵闇ノ影」(年末に出た優れたホラーサスペンス)など色々ありますね。2016年後期に公開されたランキング外の傑作は沢山あるのでご紹介していけたらいいなと思っています。

フリーゲーム・オブ・ザ・イヤー2016にランキングしている作品で、ブログで取り上げていませんが、プレイ済みの作品では「徒花の館」「妖刀伝」「朝溶けの魔女」「オロホスの夢」「ここからだして」「人格診断MV」「かわいそうなレイナちゃん!」「ウトピアの双眸」「Wolfarl.exe」はゲームコンプリートまで楽しくできたお勧めの傑作です。特にニーチェ的な遠近法の差異をテーマにした「ウトピアの双眸」と、フリーゲームならではのグロテスクショッキングショートショートホラー(先に挙げた「人間レンジ」もこのジャンル)である「Wolfarl.exe」が面白かったですね。お勧めです。

ちなみに新年の過ごし方としては、昨日の午後11時頃からずっと、スティーヴン・ハンターの「我が名は切り裂きジャック」を年越しで読んでおりました。ある程度読んだら寝ようと思ったけど物凄く面白くて読むのが止まらなかった…。スティーヴン・ハンターは邦訳は全て読了している大好きな作家で、ボブ・リー・スワガーシリーズ、いわゆるスワガー・サーガも昔は大好きだったんですが、どうも近年のハンターは、エルロイ的な歴史と虚構を複雑に組み合わせ、歴史的事件の推理をメインに作品を作るという展開に、無理にボブ・リー・スワガーを混ぜてくるので、整合性や作品の流れにかなり無理がある感じで、読んでいてもあんまり夢中になれなかったんですね…。スワガー・サーガでやるならアクション大作の方が良いのに、歴史背景の緻密さやそこから生まれる謎とその謎解きの方に配分が取られて作品のバランスがどんどん悪くなっている。スワガー・サーガはスワガーやスワガーの血縁達が悪者をばったばったとなぎ倒して超無双してゆく無双アクション小説なのでワンパターンに陥りやすく、なおかつ最近のS・ハンターが重視している歴史的事件を推理していく要素と致命的に相性が悪いんですね…。

特にひどかったのが、ケネディ暗殺事件とスワガー・サーガを混ぜた「第三の銃弾」で、これはもうS・ハンターの作品の中でも退屈すぎてぶっちゃけ最下位クラスの出来ですし…。まあハンターは底力のある作家なので、最下位クラスでも結構面白く読ませてはくれるんですが…。ケネディ暗殺事件を舞台にした小説ではスティーヴン・キングの「11/22/63」の方がダントツに面白かった。

ちなみに余談ですが、スティーヴン・ハンターは共和党支持者で、しかもそれを作品内にある程度反映させてくる保守的思想の作家なんですね(基本的に弱肉強食、自助努力と銃火器による自衛より生まれる自由を重んじる作風)。スワガー・サーガの外伝である「ソフト・ターゲット」ではオバマ大統領をモデルにしたアメリカのリベラルな高官を仇役として超ボロクソに描いたりしています。ハンターとは逆に、リベラリスト作家(反弱肉強食、弱者や敗者にも優しい眼差しのある作風)であるスティーヴン・キングは民主党支持者で、トランプが当選したらもう終わりだ、ツイッターを止めてワンちゃんの写真をUPしたりするのも止めると言っていたほどの民主党支持者なんですね(ちなみにトランプが当選して少し経ったらまた何事もなかったかのようにツイッターを再開してワンちゃん写真もUPしてます…)。

https://twitter.com/stephenking

共和党支持の大ベストセラー保守作家の代表がハンターで、民主党支持の大ベストセラーリベラル作家の代表がキングなので、ハンターの「第三の銃弾」とキングの「11/22/63」は両方ともケネディ暗殺事件をメインテーマとしており、ある種、共和党対民主党アメリカ大作家間戦争みたいな感じでしたが、作品の出来としても巷の評価としてもキングの圧勝でしたね。作家間戦争では今のところキングに軍配が上がっておりまして、まあキングは年を取っても筆力が全く衰えない超人的作家なので、こんな超人王と比較されるハンターが気の毒にも感じるところです…。閑話休題。

「第三の銃弾」の次に出たスワガー・サーガの最新作「スナイパーの誇り」も「第三の銃弾」よりはマシだけど以前のような切れはない…。もうスワガー・サーガ(=無双アクション)の延命は止めて、スワガーと切り離したS・ハンターの作品が読みたいなと思っていたところに!

「今度のS・ハンターの新作『我が名は切り裂きジャック』はスワガー・サーガと関係のない19世紀イギリスの切り裂きジャック事件をテーマにした推理サスペンス」

と聞いて、おお!と思い早速昨日読んでみたら!

期待に応える傑作でした!大傑作と言ってもいいでしょう!!非常に面白いサイコ・サスペンス・ミステリーです。スワガー・サーガと何の関係もないので、無意味にアクション無双要素とか入れなくてよくなったのが本当に功を奏して、作品全体を高みに押し上げている!

新年の年越しの瞬間に切り裂きジャックが被害者を切り刻んでいるシーンを読んでいるのもどうかと思いましたが、そのようなことが頭に昇らなくなるほど、実に面白い、無我夢中で読める作品、S・ハンターの切れ味が再び完全に戻ってきたという感じですね!昨今のS・ハンターは完全にスワガー・サーガに縛られている感じなので(自由を何より重んじるリバタリアン的保守派の作家が自分の大人気シリーズに縛られるとは皮肉ですね…)、本作のように、スワガー・サーガとは関係のない自由に書ける作品の方が切れがあって良い小説になるように思います。私は昨今のスワガー・サーガより本作の方が圧倒的高評価ですね。

「我が名は切り裂きジャック」、サイコ・サスペンスとして傑出の出来、また19世紀イギリスの描写が何とも上手くて良いんですね。ぜひ予断なしにご一読お勧めできる傑作です。S・ハンターファンとして、また最高の切れ味とスリリングなテンポの良さを保った抜群に面白いハンター節が戻ってきて読んでいて楽しい。こんな感じです。

事件から五日が過ぎた今も、新聞はこのネタを紙面から外してはいなかった。夕刊紙と朝刊紙の両方がこの事件を追っているようだった。主要夕刊紙のスターとベルメル・ガゼットは単独犯仮説をさかんに主張していた。なぜかはおわかりか?明らかだろう。控えめな配達人によって配られる朝刊紙とはちがい、夕刊紙の売り子は、通りすがりの人々に手当たりしだい新聞を売らなくてはいけないからだ。それは、鉄道駅に向かっていたり、炭塵の舞う地獄のような職場からの帰り道であったり、軌道式の乗り合い馬車の到着を待っていたり、お楽しみや自己啓発のために一頭立て幌馬車で町に出かけていたりといった人々だ。そういう人々に売りつける新聞は、よりみだらで、より刺激的で、より性や血や破壊の色合いが濃いものでなくてはならない。ひとびとの、より根源的な本性に訴えなくてはならないのだ。

その一方、彼らが帰宅するころには、猥雑な妄想はすでに尽きていて、その下品な新聞自体は屑缶に詰め込まれてしまうようにしておかなくてはならない。そして、読み終えた男は、非の打ち所がなく道徳的であるふうをよそおい、感謝の祈りを捧げる心の準備をして家に帰り、連れ合いが義務的かつ愛情をこめて用意した肉とポテトの夕食にありつくというわけだ。

それとは対照的に、朝刊各紙は家に配達され、朝食の場で読まれることになる。殺傷事件やむごたらしい出来事は、それなりに控えて報じる必要がある。競争相手である夕刊紙より、かなり節度を守らなくてはならない。清浄な暖炉のわきに置かれた屑缶を穢すことがあってはならず、そのそばで遊んでいる幼児の心を、その子が七歳になって寄宿舎に送り込まれ、そこでの十年間で男色と鞭打ちの味を覚え、それに加えてギリシャ語に堪能になるまでは、穢すことがあってはならないからだ。
(スティーヴン・ハンター「我が名は切り裂きジャック」)

まさにハンター節全開で読んでて笑っちゃうんですが、本書は、切り裂きジャックと、ジャックを追う新聞記者の二人の視点から交互に物語を描いており、まさに上記が述べるところの朝刊(新聞記者の視点)と夕刊(ジャックの視点)の繰り返しみたいな感じで物語がとてもテンポ良く進むんですね。サスペンスに溢れたサイコ・スリラーの傑作、ぜひご一読をお勧め致しますね!!

我が名は切り裂きジャック(上) (扶桑社ミステリー)我が名は切り裂きジャック(上) (扶桑社ミステリー)
著者:スティーヴン ハンター
扶桑社(2016-04-30)
販売元:Amazon.co.jp

我が名は切り裂きジャック(下) (扶桑社ミステリー)我が名は切り裂きジャック(下) (扶桑社ミステリー)
著者:スティーヴン ハンター
扶桑社(2016-04-30)
販売元:Amazon.co.jp

スナイパーの誇り(上) (扶桑社ミステリー)スナイパーの誇り(上) (扶桑社ミステリー)
著者:スティーヴン・ハンター
扶桑社(2014-12-23)
販売元:Amazon.co.jp

スナイパーの誇り(下) (扶桑社ミステリー)スナイパーの誇り(下) (扶桑社ミステリー)
著者:スティーヴン・ハンター
扶桑社(2014-12-23)
販売元:Amazon.co.jp

第三の銃弾 (上) (扶桑社ミステリー)第三の銃弾 (上) (扶桑社ミステリー)
著者:スティーヴン・ハンター
扶桑社(2013-11-30)
販売元:Amazon.co.jp

第三の銃弾 (下) (扶桑社ミステリー)第三の銃弾 (下) (扶桑社ミステリー)
著者:スティーヴン・ハンター
扶桑社(2013-11-30)
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11/22/63 上 (文春文庫 キ 2-49)11/22/63 上 (文春文庫 キ 2-49)
著者:スティーヴン・キング
文藝春秋(2016-10-07)
販売元:Amazon.co.jp

11/22/63 中 (文春文庫 キ 2-50)11/22/63 中 (文春文庫 キ 2-50)
著者:スティーヴン・キング
文藝春秋(2016-10-07)
販売元:Amazon.co.jp

11/22/63 下 (文春文庫 キ 2-51)11/22/63 下 (文春文庫 キ 2-51)
著者:スティーヴン・キング
文藝春秋(2016-10-07)
販売元:Amazon.co.jp

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村上隆氏のアニメ「シックスハートプリンセス」視聴。これが地上波放映されること自体が「現代アート」って感じですね…。良いお年を。

現代アートの日本最大の巨匠である村上隆氏が監督したアニメ「シックスハートプリンセス」視聴。年末最後に見たアニメがこれとは…。いやあ…。地上波商業アニメならスポンサーが激怒して放映されることなくお蔵入り決定しそうな出来でしたね…。この出来で放映されることを誰も止めなかったんですね…。村上隆さんは番組の最後に「見ての通り実験映画というか同人アニメ的なものになってしまいました」って言ってましたが、そのような言い草は実験映画や同人アニメにとても失礼な出来でしたよ…。というか、これどこがスポンサーやってるんだろう…。CMが東京MXテレビの宣伝しかなくて企業の提供表示も一切ないから、東京MXテレビがスポンサーなのかな…。番組中では現代アーティストが創設したシュウウエムラ化粧品が本作製作会社のスポンサー(本アニメのスポンサーかどうかは不明)の一つって言ってましたが、完全に現代アート繋がりですね…。

現代アートの巨匠村上隆氏が製作に関わったアニメということで本作が地上波放映された訳ですが、これが地上波放映されること自体が「現代アート」の本質を表していると思いました。現代アートって「大物現代アーティスト」がなんか適当にスケッチブックに落書きを書きなぐっても一億円とか値が付く世界のようですからね…。大富豪や大企業が資産の節税及び資産流動性を高めるために富豪層同士でお金をぐるぐるまわすためのガジェットなんですね、現代アートって…。お金なくて生活に困っている自分としてはあまりにかけ離れた世界でうらやましい世界です…。

お金なくて、お正月をどう過ごすか困っておりまして、もしよろしければ、amazonギフト券を贈って頂けたり致しますと、とても助かり感謝いたします…。

良いお年を…。

巨大化する現代アートビジネス巨大化する現代アートビジネス
著者:ダニエル グラネ
紀伊國屋書店(2015-07-16)
販売元:Amazon.co.jp

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年末にお勧めのフリーゲーム傑作選。「待チ人来たる2」「祭囃子が鳴り止むまで」「わんだーうぉーかぁず!」他。

年末ですね。今回は2016年に出たフリーゲームで年末年始によさげな短時間でさくっと楽しめる短編作品を幾つかご紹介致します。どれも良い感じの余韻が残る作品、年越しに楽しめるゲームと思います。

「待チ人来たる2」
http://www5f.biglobe.ne.jp/~yasuwo/MATI2/matitop.htm

以前ご紹介した館物ホラーサスペンスの傑作「待チ人来たる」(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1879582.html)の続編。凝った館物の大作であった前作に比べると、ほぼ一本道になった短編ゲームですが、トリッキーな作風と考えて攻略するバトルは健在。意表を突くエンディングもあり楽しめました。エンディング1はドッペルゲンガーと超常的な女体化の組み合わせと考えればいいのかな…?

「祭囃子が鳴り止むまで」
http://cage1729.web.fc2.com/object/festival.html

これまた以前ご紹介した館物ミステリーの傑作「神林家殺人事件」(http://nekodayo.livedoor.biz/archives/1888725.html)の作者さんによる新作。さくっと楽しめる爽やかな青春冒険物であり、胸に良い余韻を残してくれる好短編です。

「何も事件は起こらなかった」
http://www.freem.ne.jp/win/game/13683

前述の「神林家殺人事件」の作者さんによる新作。登場人物達の心象風景を重視した作風で表題の意味を考えさせてくれる作品。短編ならではのアイデアストーリーです。

「わんだーうぉーかぁず!」
https://twitter.com/shichirinne

さくっと楽しめるノンフィールドRPG+トランプゲームの好短編。VIPRPGのにぎやかで楽しいアットホーム感がプレイヤーにも伝わってくるほのぼのした良作です。

「ラナのアトリエ エターなるラナ」
http://www.geocities.jp/viprpg2016gw/entry31.html

アトラスゲーを彷彿とさせる時間差ターンバトルが楽しい短編ほのぼのRPG。VIPRPGを舞台にしたシナリオはアトリエシリーズなどを彷彿とさせる感じで明るく、さくっとシナリオクリアもできますし、やりこみ要素も満載です。


「秒針は夢をみる」
http://clocktower-project.com/

単語を集めて物語の時間を進めていくシステムが面白い。また、物語自体も良くできていて楽しめる探索アドベンチャーです。


「おわりはものがたる」
http://www.freem.ne.jp/win/game/12689

戦略性に富みながらそれほど高難易度ではない適切な難易度のノンフィールドRPG。RPGにおける余計な要素を一切合切ばっさりはぎとった作品で、面白くプレイできました。


RPGツクール フェス - 3DSRPGツクール フェス - 3DS
角川ゲームス(2016-11-24)
販売元:Amazon.co.jp

2分間ミステリ (ハヤカワ・ミステリ文庫)2分間ミステリ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
著者:ドナルド・J. ソボル
早川書房(2003-11)
販売元:Amazon.co.jp

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