ねこねこブログ

ねこねこと申します。ねこ大好き(*^^*)アニメ、マンガ、ゲーム、本とかも大好きです。楽しいことたくさん書いていきたいと思います。今、うつ病で無職で生活が非常に貧困困窮しておりまして、買い物してくださるととても感謝します。メールについてはこちらをご覧下さい。リンクフリーです。ツイッターはこちらです。https://twitter.com/kemohure

気持ち

今日、朝、凄く辛いです…。
どうしたらいいかわからない…。

辛いこと書いちゃってごめんなさい。
なるべく楽しいこと書きたいなと思います。

水木しげる「神秘家列伝」大きな見えない存在たちと共に生きる

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水木しげる「神秘家列伝」

水木しげるさんの「神秘家列伝」ずっと読んでました。この本辛い気持ちのときでも読めて、それが、天啓というか、ハッと分るような形で降りて来て、それどうしても伝えたいと思いました。

この本で、水木しげるさんは無数様々なありとあらゆる「目に見えない様々な存在」について肯定的に語っていて、そういう存在と向き合った人達について語っているんですが、そういう存在は世界の救いなんですね。

人間は不完全で、沢山の不運不正に苦しめられて、自分が誤ってなくても弾圧されたりする(神秘家列伝にもそういう苦しむ神秘家沢山出てきます)、だけど、目には見えない沢山のもの、大きな沢山のもの、そういったもの達と人間と動物と植物で地球に暮らしているってことは、人間の世界の尺度だけじゃなくて、人間の不運不正に苦しめられても、そういったことを、別の「見えないもの」の世界も見ていてくれているってことなんですね。

嬉しいとき、みえないものが一緒にいてくれて、嬉しさを共にしてくれていて、苦しいときは、その不正な苦しみのことを知っている見えないものが、一緒に悲しみ苦しんでくれている。そういう、大きな世界、みえないものたち、人間だけの世界じゃなくて、もっと大きな世界として世界があるんですね。

これは、人間の不正と苦しみの世界よりも、ずっと大きな、素敵な世界だと僕は思います。神秘家列伝に出て来る女神様の長南年恵さんの話とか、僕は大好きです(年恵さんの話読んでて、ネパールの女神様クマリを思い出しました)。近年の歴史学の本「世界女神大全」「古ヨーロッパの神々」「女神の時代」等に出て来る紀元前の神話的な女神文化(母権制で武器が発達しておらず、戦争と略奪ではなく、宥和と信仰によって文明が成り立っていたとされる神話的な「黄金の時代」)が僕は大好きなんですが、水木しげるさんの描く世界にも、そういう「黄金の時代」のような、人間よりおおきいものたちと生活している息吹があって、そこには、人間達の不正や悪による苦しみが、人間より大きなものによって、救われていて、すごくいいなと感じました。それは、人間だけの現代文明より、ずっとずっと優しい暖かい繋がりがあると僕は思います。僕はおおきなものを大切に貴く感じます。

伊藤俊太郎
「(旧石器時代は)トーテミニズムとプレアミニズムが基本になっている。………(時代が進んで農耕が開始され)旧石器時代のヴィーナスたちは、新石器時代になると大地や豊饒をもたらす女神たちに変貌する。そしてそれを著したのが、マリヤ・ギンブタスです。彼女は古ヨーロッパというものを考えた。紀元前6500年頃から紀元前3500年の間、これはまさにヨーロッパで農業革命があって、かなり豊かな定住生活がなされた。
そして、そこにおける社会の本質的なものは母権的なものであった。それは、平和というものを原理としていた。戦争というものを思わせるものが何もない。武器が何も出てこない。そしてただ、女神らしきものが妊娠している。あるいは女神が、牛を生んでいる。チャタル・ヒュユクの牛は豊饒生産の象徴を表している。この文明は、平和で、階層がそんなに強くない。住居が同じぐらいの大きさで、本質的に母権制である。ケニヨンが発掘したエリコもまた、チャタル・ヒュユクより少し新しいが、ほぼ同時代の農耕革命が拡大した共同体で、都市の一歩手前。これも同じく母権制ですね」
インタビュアー
………「――古代世界では女性が中心になっていたという発見は、考古学史上では、革命的なことでしたよね」
(水上洋子、葉月純「女神の時代」)

吉崎一美も、「クマリは初潮前の童女に宿った女神タレジュ(ヒンドゥー教徒はその本身をドゥルガー、あるいはパールヴァティーとする、彼女らはいずれもシヴァ神の妃とされる。仏教徒はそれをヴァジュラデーヴィー、すなわちヴァジュラヴァーラーヒー女神とする)への信仰によって成立するが、この場合に女神は童女の身体を壷としてそこに宿る(憑依する)のである。こうして童女の額には女神の存在を示す第三の眼が描かれることになる」と書いている。神を、神そのものとして祀るのではなく、神を宿した容れ物として崇拝の対象にするのは、インド・ネパール社会においてはかなり普遍的なことのように思われる。………
クマリ信仰の萌芽がすでにリッチャビ王朝の時代に見られることは、いまや否定できないことのように思われるが、幾度かに渡るヒンドゥー教の影響や仏教の変遷にさらされて、その姿を大きく変えてきたこともまた確かであろう。そうしたなかで、クマリそのものが観音の化身となったということはいかにして説明できるのであろうか。
(植島啓司「処女神」)

水木しげる
「上の方は神だけれども、下の方とか、中間にはいろいろな精霊や怪物がおり、面白いと思う」
「あんたそれ妖怪のこといってんですか」
水木しげる
「いや妖怪だけじゃないよ。いろいろ目に見えない取り憑くものもいたりして、人間はある程度そういうものに支配されているような気もする」
「自分はナニかということになると」
水木しげる
「そう人生も八十近くなってくると、いろいろなことがわかって面白い」
「ソレ少しボケたんじゃないの」
水木しげる
「……と思いたいけれども、今回のこういう話をみると我々の人生があまりに短いためにわかりにくいのだと思う。そう前に書いたようにめしのために時間をとられすぎるのだ」
年恵さんのように邪心のない素直な心だとカミもよりつくのだ。そう私が海外に行って精霊を呼ぶ「小歌」を聞かせてもらうときみんなの顔を見ると とても純真だ
なんだろうとかそんなのいるわけないだろうという心にはわかりにくいのだろう。

宇宙というよりこの地球には、「見えない存在」というものがいて我々に働きかけたりするが、従来の大宗教に染まらない目でこの「見えない存在」を見ると、また新鮮に見えてくる。いずれにしても、そういう神秘的なことというのは昔の官憲のように(科学的ではないという理由で)弾圧しないで、やはり観察すべきではないかと思う。
(水木しげる「神秘家列伝」)

参考リンク
女神ホロたんと「世界女神大全」 −賢狼ホロの子供達−

参考作品(amazon)
水木しげる「神秘家列伝」

水木しげる著作一覧

アン・ベアリング、ジュールズ・キャシュフォード「世界女神大全 機

アン・ベアリング、ジュールズ・キャシュフォード「世界女神大全 供

マリヤ・ギンブタス「古ヨーロッパの神々」

ジョン・A・フィリップス「イヴ その理念の歴史」

水上洋子、葉月純「女神の時代」

バッハオーフェン「母権論」

支倉凍砂「狼と香辛料」

DVD「狼と香辛料」

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PULLTOP「ゆのはな」

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みけにゃんProjectさん 嬉しい出来事を書く

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みけにゃんProject〜認知療法で憂うつな気持ちとバイバイするにゃ〜

このHP、僕にとって出会えて良かったHPです。僕も、辛いことがどうしても頭から離れなくて何も楽しめなくて、前みたいに物事を楽しめるようになりたいな、この辛いの少しずつでも直したいなと思っていて、このHP読んでこれ頑張ってみようと思いました。

今日見つけた嬉しい出来事を書く意味

これ、毎日できるかどうかわからないけど、その日嬉しかったこととは日付がずれると思うけど、やってみたいなと思います。何もしてないと辛いことばかり考えてしまって、動けなくて辛いので(お薬のおかげで少し楽です)、辛いことが頭から離れなくても、楽しいこと、嬉しかったこと、思いたいです。

僕が、相手に嘘付かれて陥れられたとき、どうしたらそれ証明できるかわからずにずっとそれが頭にあって苦しいとき、僕のこと友達や家族が無条件に信じてくれて、それで、僕にとってとても大切な友達とそのこと話してて、僕のこと信頼して信じてくれる人大勢いるよって励まされて、それがとても嬉しかったです。

働けなくなっちゃって、家族とか友達とか周囲の人に迷惑かけているのも辛いですが(今は僕が貯めた貯金を崩して生活しています)、でも、凄く、周囲の人の優しさに触れたことが、嬉しかったです。

あとねこ、ねこなでなでしたりブラッシングしてごろごろすると、嬉しいです。

少しでも、自分を良くしていきたいと思います。

「我が家のお稲荷さま。」と新美南吉さん 暖かい童話

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青空文庫「新美南吉」

DVD「我が家のお稲荷さま。」

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僕は、心に辛いことがあってから、辛いことが頭をぐるぐる回って今まで見てたアニメとかも見れなくなっちゃったんですが、それでも見てて、気持ちが救われるのが以前書いた「ペルソナトリニティソウル」というアニメと、もう一つ、「我が家のお稲荷さま。」ってアニメなんですね。

「我が家のお稲荷さま。」というアニメは、狐の神様、お稲荷様が、主人公の男の子二人を、守護神かつ母親のように守りながら、他の人々たちとも生活を楽しんでいくアニメで、このお稲荷様の天狐さんが、なんかすごくほっとする感じでいいんですね。

先週の回で、弟の子が、大きな狐の天狐さんに寄りかかってもふもふって感じで楽にしてましたけど、これ、とてもいいなって思いました。うちの猫も、機嫌の良い時は、僕がよりかかってもふもふってして楽にしていて、ちょうど、先のアニメのワンシーンみたいな感じで嬉しくて。

でも、猫って機嫌の移り変わりが激しくて、もふもふってしてたり撫でたりしてても、ごろごろ〜ってしてても、すぐ機嫌が変わって、爪立てて軽く引っかいたりして(じゃれてるだけで本気で爪立てないので怪我しません)それでぷいってすぐどこかに行っちゃったりしてこの機嫌屋なところも、アニメの天狐さんも同じで、僕が動物のすごく好きなところ、とても素直なところが出てて、見てて嬉しくなるんですね。動物の暖かさがとても好き。

狐というと、僕は「ごんぎつね」とか「手袋を買いに」で有名な新美南吉さんを思い出すんですが、新美南吉さんも人間も動物も、悲しみを持ちながら根本は凄く暖かい、優しい童話を書く人で、僕は物凄く好きな作家さんで、最初は青空文庫で読んで嵌って、青空文庫の収録全部読んだ後は本屋さんで買って、本屋さんではすでに絶版で売っていない新見南吉さんの童話の研究書とかも図書館で借りて、好きで好きで、もともと古今東西童話・メルヘンは大好きなんですけど、小川未明さんとかも好きですけど、小川未明さんの透明で美しい童話とかとても綺麗だと思いますけど、ただ僕は、童話のなかでも一番好きなのは、新見南吉さんの童話で、暖かくて大好きです。読んでて暖かくなります。

新美南吉さんは、一生懸命、人間の根本的な優しさとか母性愛とか、女性的な愛、それは、実際の性別とか人間動物とか母性愛とか恋情とかに区別されない大きな女性的な慈愛みたいなものを描く人なんですね。悲しみを、暖かい優しさが癒してくれる。読んでて、心がほっこりします。まだ読んだことない人は、ぜひ読んで欲しいです(青空文庫で沢山読めます)。

「我が家のお稲荷さま」や、これも僕の大好きな大切なアニメ・漫画に「ARIA」という優しい作品があるんですが、これも、新美南吉さんの童話と通じる暖かい慈愛の源流が流れている感じで、大好きです。心が苦しいことあってずっと辛いですけど、でも、こういう、大きな優しさの通ってる作品みたいの、感じられるようになったのは、とっても救いでした。凄くいい作品なので、皆さんにお勧め、それと心が辛かったりする人は、見たり読んだりすると、心が少しでも、安らいで、楽になると思います。

「我が家のお稲荷さま。」では、真面目なドジッ子の巫女さんコウちゃんも大好きです。

参考リンク
青空文庫「新美南吉」

参考作品(amazon)
新美南吉著作一覧

新美南吉「新美南吉童話集」

柴村仁「我が家のお稲荷さま。」

DVD「我が家のお稲荷さま。」

DVD「ぺルソナ トリニティ・ソウル」

天野こずえ「ARIA」

DVD「ARIA」

フィギュア「ARIA」

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田中美知太郎「ソクラテス」きちんとよく生きる優しく生きる

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田中美知太郎「ソクラテス」

田中美知太郎先生のソクラテスを読みました。昔の僕、また今の僕ならば泣いていたかもしれないけど、涙はでなかったけど、心に深く沈む、大切な言葉でした。僕は、以前、人間はどこか、みんな話せるところがあって、平然と嘘をついたりしないと思っていたので、以前、全然知り合いでも言葉交わしたこともなく、なのになんで僕にずっとひどいことを云うのか、全然わからない人から平然と嘘付かれて陥れられたとき、凄いショックで、平然と嘘つかれたということが、ずっとずっと頭のなかをグルグル回って、凄く苦しいんですが、それが、田中美知太郎先生の「ソクラテス」、そのこと読んでるときも頭にあって苦しかったですけど、一生懸命読んで、そうしたら、心が、少し楽になるような、心打たれるような、凄く、大切なものを感じました。喜び苦しみ様々な生の中で、きちんと、誠実に生き続けていくことを、平凡だけど、大切なことをずっと説いています。長いけど、どうしても引用したい最後の部分、引用させていただきます。

プラトンの「ゴルギアス」で、対話人物のカルリクレスが、ソクラテスの正義についての高尚めいた議論に業を煮やして、そんなことを言って、まるでこの社会の外に住んでいるようだけれども、つまらぬ悪者に訴えられたりして、とんでもない目にあうことがあるとも考えないのか、というところがある。これに対するソクラテスの答えは、

「この国に住んでいれば、誰だって、どんな目にあわないものでもないということを、もし私が考えないでいるとしたら、わたしはたしかに馬鹿者だということになる」

というのであった。われわれはここに、ソクラテスの覚悟というようなものを見ることができる。ソクラテスは自己の危険について、充分に知っていたと言うべきであろう。しかしかれにとっては、「クリトン」に言われている有名な言葉にある通り、「ただ生きるということではなくて、よく生きるということが、大事とされなければならない」のであった。この原則は、かれが不当の裁判で殺されるというので、友人たちが脱獄の用意をして、説得にやってくるといったような、いざという場合になっても、やはり平常の時と同じ意味を持っていたのである。これはその場合にも、かれの平常の言葉として取り扱われているが、その意味は何なのであろうか。「ゴルギアス」に言われていることが、それの説明のようなものになるかもしれない。

「尊いこと、善いことというのは、いのちが助かるとか、いのちを助けるとかいうこととは、別のことなのだ。自分がどんな人間であるかということにはおいかまいなしに、ただ自分のいのちを保ち、どれほどかの時間を生き延びるなどということは、男子の問題にすべきことではない。むしろそういうことは神に一任し、何びとも死の定めをまぬかれぬのだということでは、昔からの言いつたえを守る女たちの言を信じ、その次のこと、すなわち生きるはずの時間を、どうしたら最もよく生きられるかを考うべきだ」

というのが、それである。これは厳しい言い方になっているが、根本の精神は、ソクラテスの哲学(きちんとよく生きる)に言われていることと同じである。人生はそれだけでは、全くの無意味なのであって、われわれはこれに、何かよきものを付け加えなければならない。しかし「よく生きる」とは、どういうことなのであろうか。「自己をすぐれたものにし、精神をよくする」とは、どういうことなのであろうか。



「クリトン」のなかに、われわれはその「精神」について、注目すべき言葉が語られている。
それは「正によって、すぐれたものとなり、不正によって、こわされて来たもの」
という言葉であり、「不正がこれを損ね、正がこれを益する」
という言葉である。つまりわれわれの「いのち」は、既にこれまでに、この正不正によって、善くも悪しくもなったのである。だから、さきの有名な言葉の出て来る箇所でも、「よく生きる」とは、「正しく生きる」ことなのだと、簡単に言われている。

よく生きるといっても、禍福や利害に関する限り、われわれ人間の思慮では、どうにもならないものがある。「思い出」でも、そういうことは、神託に問うほかはないと言われている。幸福の鍵として、万人の求める智慧は、神のところにしかなかったのである。

ソクラテスも、これらのことでは、ダイモンの合図に従った。しかし正と不正とは、神託に問わなくても、人間が自分で考えれば、分るものなのではないか。少なくともわれわれは、自分が不正を加えられ、害を被っているということを、痛い思いと共に知っている。何が正しく、何が正しくないかは、誰も分らないというのは、議論の上のことであって、不正の取扱いを受けたという体験をもたない者は、恐らくひとりもいないだろう。われわれはそのような不正の経験と共に、また正をも知るのである。少なくともわれわれは、そのような不正に対して、正義を別に求めなければならなくなる。「よく生きる」ということについての、ソクラテスについての答えは、この「正」のうちにあると言うことができるであろう。恐らく人間の真の幸福はこの平凡な一事(正)のうちにあるというのかもしれない。既に見られたように、愛智のプロトレプチコスは、また正義のプロトレプチコスだったのである。だから、「クリトン」のソクラテスも、一つの不正に対して、また別の不正をもってするということを、徹底的に否定しなければならなかったのである。そのような不正によって、かえってかれ自身が傷つけられると信じたからである。ひとつの伝説に、クサンティッペが、「あなたは不正に殺されるのだ」と言った時、ソクラテスは、「それならお前は、私が正当に殺されるのをねがうのか」と答えたと言われている。彼は死に当る罪を犯して殺されるよりも、何の罪も犯すことなく、ただ間違って殺されることを、むしろよしとしたわけなのであろう。そのかれの死について、パイドンは

「じつは、私はその時おそばにいて、まことに不思議な感じを受けたのでした。それは、親しい人の臨終に立ち会っているというのに、お気の毒なという気にはならなかったのです。だって、あの方は幸福そうに見えたのですからね。その態度も言葉も……。まこと、なんというか、自若した態度で、気高くも死につかれたことでしょう。(中略)しかしそうかといって、つね日ごろ、わたしたちが哲学の談論に時をすごす折のような愉しさも、それは持てませんでした。いや、それはまったく、奇妙な感情だったのです。愉しくはあっても、あの方はまもなく亡くなられるのかと思うと、それに苦痛も混り合ってしまい、わたしたちには何か常ならぬ、混淆とした気持が現れてくるのでした。そしてこれは、その場に居合わせた人すべてが、ひとしく抱いた気持だったとも言えるのです。ある時は笑っていると思うと、すぐまた涙にくれたりしてね」

という、その場の空気をわれわれに伝えている。プラトンは「パイドン」の終りを、

「これが、われわれの友の最後だったのです。かの人こそは、われわれの知る限り、まさに当代随一の人とも言うべく、とりわけ、その智慧と正義において、他に比類なき人だったのです」

という言葉で結んでいる。「国家」でも「思い出」でも、ソクラテスは全生涯を、正義の問題に捧げて来た人として語られている。ソクラテスこそ正義の証人だったのであろう。かれの生死は、かれの万人にといかけていたことの答えだったのである。本当の哲学(愛智)というものは、そういうものなのだと思う。
(田中美知太郎「ソクラテス」)

僕は、ソクラテスのような、凄い立派さは持てないと思うけれど、それでも、きちんとよく生きるということを、大切にしたいと思って少しだけど気持ちが助けられました。僕は、嘘付かれてから凄いショックで、何も食べれなくなっちゃって、仕事も休んでできなくなってしまって、以前のブログも閉じてそっちの収入源もなくなってしまって、心身崩してしまって、家族にも周囲の人にも心配かけて、心配かけてることが凄く申し訳なくて、それで、環境変えた方が良いよってみんなから進められて、旅行に行ってました。

僕はもうほんとうにどうすればいいのか全然わからなくて、何も不正していないのに、嘘付かれて、それをどう証明すればいいのかわからなくて、辛くて、旅行先の神社さんを何件も回って、一生懸命お祈りして、民宿(高いところにとまれるお金なかったので凄く安く泊めてくれる民宿旅館に泊まってました)に帰ってからも、ずっとそのこと考えてて、どうしても身体が動けなかったんですが、民宿先の人が家族でやってるアットホームないい人達で、フロントにいると、お爺ちゃんが色々世間話してきて、それで、ただいま〜って、その家の子たちが帰ってくるんですね。旅行先のおばちゃんたちとも世間話して、それで、凄く暖かくていいなと思って、田中美知太郎さんの「ソクラテス」の「正・幸福」ってきっとこういうことなんだろうな、って「ソクラテス」読んでて思いました。ただ、どうしても辛いのが直らなくて、電車の中でもずっと苦しい辛いことが頭ぐるぐる回って、旅行から戻ってきたあとも、どうしても嘘付かれて陥れられたことが頭から離れなくて、苦しくて、本当に死んでしまいそうで、だけど、こんな僕でも、死んだら悲しむ大切な人たちがいるから、僕の猫も凄く大切で、死ねないって思って、それでも凄く気持ちが追い詰められていて、すぐ病院いかないとダメだと思って、病院調べたんですが、みんな予約制で、精神の緊急では入れないんですね。それで倒れちゃってるところを、心配で様子を見に来た家族に助けてもらって、緊急で入れるところに入って、カウンセラーの方とお医者さんにお話全部聞いてもらって色んなお薬飲んで、お薬飲んでから最初は一日中寝ちゃったんですけど、お薬頂いてからすこしよくなって、お医者さんから、辛いことと関係のないネットはやっていいですけど、絶対ひどいことが書いてあるとこは気になっても見ないで下さい。って云われて、それ守って、やっています。辛いのずっとありますがお薬を飲むと辛いの少しだけ減って、お医者さんの言葉も守れます。今もひどく先のことが辛くて頭から離れなくて、お金なくて(仕事と以前のブログから収入がなくなってしまって)どうしても、どうやっても、前みたいに楽しくなれなくて、元気になれないけど、だけど、それでも、田中美知太郎さんの「ソクラテス」読んで、頑張って、きちんとよく生きるように頑張ってします。凄い苦しくて、今も苦しいから、もっと、人々に、これからずっと、優しくなりたいと思っています。助けてくれた人にご恩返ししたい。それだけじゃなく、「人々に優しくなりたい」きちんと、文章にして、ずっと大切にします。

参考図書(amazon)
田中美知太郎「ソクラテス」

田中美知太郎「哲学初歩」

田中美知太郎著作一覧

プラトン著作一覧

水木しげる「神秘家列伝」 心が痛くならない本

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水木しげる「神秘家列伝」

僕は、辛いことがあって心身崩してから、ずっと眠れなくて、お医者さんに睡眠薬処方してもらって眠れるようになったんですが、やっぱり、辛いことが強いときは今も眠れなくて、そういうとき、好きな本も一ページも読めない(読もうとしても辛いことが頭をぐるぐる回っちゃう)んですが、そんなときでも、読める本が、水木しげるさんの本で、大好きですね…。

特に好きなのは、水木しげるさんの「神秘家列伝」って本で、この本、水木しげるさんの作品の中で僕は一番大好きです。

この本は、水木しげるさんの本の中で歴史に残る最高傑作か?と考えると、それは、難しいところ(僕は水木しげるさんの本の中で歴史に残るような最高の作品はコミック昭和史だと考えています)ですが、それでも、僕の中では一番大好きな大切な本です。

神秘家、不思議やオカルトに真面目に傾倒する人々を、ネズミ男が案内役に、飄々と紹介していくんですが、読んでて、心が落ち着くんですね…。心が痛くならない。それは紹介する人々を凄く公平に優しく描いているから。水木しげるさんが個人的にとても敬意を持つ人(スウェーデンボルグとか)にも公平で、真っ直ぐで、誠心で、静かで穏やかな眼差しで描いているんですね。神秘家はみんな変わり者ですが、馬鹿にしたり上下つけたりせず、公平に見ている。こういう、変わった人たちを、穏やかに、静かに、敬意と公平を持って紹介していくって、水木しげるさんの、とてもいいところ、漫画評論家の夏目房之介さんが、水木しげるは決して人間中心主義を採らずに、公平に、世界(風景)と人間を、静かに見ていくというようなことを仰っていましたが、そういうのが、人物伝として、とてもよく描けていて、大好きな漫画です。

コリン・ウィルソンの「アウトサイダー」(これもいい本ですが…)とか、神秘家を描く作品は色々ありますが、どうしても、神秘家を特別扱いしたり、逆にちょっと馬鹿にするようなところがあったりして、心が痛いなって感じるんですが、水木しげるさんの眼差しにはそういう、人を区分けして上下にするようなところがなくて、読んでて、心が落ち着くんですね…。

それに、描かれる神秘家達の良いところ、喜ばしいところだけじゃなくて、ダメなところ、辛いところ、苦悩や苦しみも、きちんと描かれていて、とても魅力的に感じます。本当に大好きな本です。そして、人間への眼差しが、公平なだけじゃなく、凄く静かな優しさがあって、神秘家の多くは、私生活は恵まれないことが多くて、第一巻第一話のスウェーデンボルグも、晩年は凄く苦しんだんですが、最後の一コマが、水木しげるさんの静かな優しさを感じて、僕はもう大好きです。この第一話「スウェーデンボルグ」読んでそれで嵌ったんですね。それからずっと読みました。このシリーズ素晴らしい本です。良かったら、皆さんにも、読んで欲しいなと思う本です。

あと、この本、古今東西世界中の神秘家達を沢山紹介することで、例えばキリスト教だったら天使、仏教だったら仏というように、何かみんな凄く大きな繋がりを見ている、それは、それぞれ名前や解釈が違うということで、本当は、とても大きなもの(一つではなくとても色々あって、人間の知覚を超えている大切なもの)があるんではないかということを、一生懸命示唆していて、そのことを水木しげるさんも後書きとかに直接書いているんですね。これ、僕の尊敬する中村元さんっていう哲学者・宗教学者の方が仰られていることと同じで、感動しました。中村元さんの「東洋のこころ」って本に詳しくでています。神秘家列伝面白かったら、ぜひそちらも読んでみて欲しいなと思います。

われわれの住んでいる地球には、「目に見えないもの」もいる。すなわち、そういうものをいろいろ工夫して見ようとした人達が、この「神秘家」である。それぞれびっくりするほど真剣で真面目である。そういう努力をして見る人もいるが、「生まれつき見える」人もたまにいる。
(水木しげる「神秘家列伝」)

参考図書(amazon)
水木しげる「神秘家列伝 第一巻」

水木しげる「神秘家列伝 第二巻」

水木しげる「神秘家列伝 第三巻」

水木しげる「神秘家列伝 第四巻」

水木しげる「神秘家列伝」

水木しげる「コミック昭和史」

水木しげる著作一覧

中村元「東洋のこころ」

コリン・ウィルソン「アウトサイダー」

アリスソフトさんの新作「闘神都市掘彌个泙后嬉しいです。

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アリスソフトさん公式HP(新作発表)



アリスソフトさんの新作、「闘神都市掘廚発表になりましたね。僕はこのシリーズずっとやってきているんで嬉しいです。このこと、励ましてくれる方のメールで教えてもらって、凄く嬉しかった。本当にありがとう。沢山励ましのメールいただいて、返事全部出すようにしているんですが、もし見落としがあったらごめんなさい。

まだ元気なくて、ゲームとかできないけど、アリスソフトさんの作品は、一本心に綺麗な筋(エッチな意味じゃないですよ〜)が通ってて、辛い話でも真っ直ぐ元気になるところがあるので、頑張ってやってみようと思います。メール、本当にどうもありがとう。とても嬉しかった。



アリスソフトストアさん

アリスソフトさん作品一覧

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みなかさぶただらけのからだで去っていく

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冷たい風ばかりのこの世から
君たちはみなかさぶただらけのからだで去っていく
(ブレヒト「この世のやさしさについて」)

僕は今日、心が辛くて、僕も含めてみんな、もっと、ほんの少しでいいから、優しくなれればなと思いました。
今は辛くて、楽しいことも楽しいと感じられなくて、ネットの色んなところに、偶然に、心を傷つけるようなものが転がっていて、辛く感じました。勇気ある者を必須とする世界は不幸な世界だと、ブレヒトという作家が書いています。僕も、そう思います。勇気よりも、思いやりと、優しさを、みんなで、大切にして欲しい…。
以下、ブレヒト「ブレヒトの写針詩」からの引用です。これ、優しさがあって良い本です…。

アンドレア「英雄のいない国は不幸だ」
ガリレイ「ちがう、英雄を必要とする国が不幸なのだ」
(ブレヒト「ガリレイの生涯」)

ユーモアのない国に住むのは耐え難いことだが、ユーモアを言わずにはいられない(心が生き延びられない)国に住むのはもっと耐え難いことだ。
(ブレヒト「亡命者の対話」)

それよりもやっぱり望みたいことは望み
どんな小さな喜びでも放棄せず
悩みの元凶たちから断固身をそむけ
この世をついにわれわれの住みいいものに
することのほうがましではないかと思う。
(ブレヒト「この世のやさしさについて」)

他人も誰も堕落させない 自分も
誰のことも幸せにしてやる 自分のことも
それが善なのだ。
(ブレヒト「ゼチュアンの善人」)


ブレヒトの写針詩 (大人の本棚)

大岡昇平「オフィーリアの埋葬」 悲しみを引き受ける女性

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その穢れない身体から、すみれの花を咲かせてくれ
(シェイクスピア「ハムレット」)

NHKで放送していたうつ病の特集を見ました。僕はシェイクスピアが大好きで、ハムレットのオフィーリアがリア王のコーディリアと並んで、とても愛しく思っているヒロインなんですが、そのこと思い出しました。
僕は、ハムレットは、ハムレットが躁的なスキゾフレニックな怒りと仮面を象徴しているとすれば、オフィーリアは鬱的なメランコリックな悲しみと誠心を象徴していると思っていて、凄く見ていて辛くて、愛しいヒロインです。僕は、こういう、世の中の悲しみをじっと引き受けて、静かに悲しげだけど、それでも頑張って、生きているヒロインが、とても好きです。僕の好きなゲームに「AIR」という作品があって、そこに出てくるヒロインの神尾観鈴にも、同じような、魅かれる、どうにかこの子を幸せにしてあげたいと強く感じさせる気持ちで、胸が一杯になりました…。
大岡昇平さんの小説で、ハムレットの二次創作・翻案小説「オフィーリアの埋葬」という作品があります(「戦後短編小説再発見3さまざまな恋愛」に収録)。ここで、亡霊のオフィーリアがハムレットをなんとか救おうと、一生懸命、頑張るのですが、ハムレットは聞き入れないんですね。亡霊のオフィーリアはずっとすごく悲しそうで、こういう悲しみが、欝や自死のことになっているのかもしれない、もう少しでも、こういったものを減らして、楽しいことを増やしていければいいのにと、心から思いました。宿命は変えられぬとしても、せめて、喜びがあって欲しい…。

オフィーリアの亡霊
「子として父の死を悲しまぬものがございましょうか。しかし二度と帰らぬ旅路に上られたハムレット様を、一層おかわいそうに思っておりました。

二度と戻って来ぬわいな
二度と戻って来ぬわいな
なんで戻ろか、亡き人の
帰らぬ日を、待つよりは
いっそこの身も捨てましょう。
さようなら。

いとしい方がお父様を殺されました。とはいえ王様にはかられて、遠いイギリスにつかわされたとのこと、オフィーリアは胸を痛めておりました。いとしいお方を見殺しに、何事もこの小さな胸三寸に収めておかねばならぬ。その辛さに気が狂いました。(中略)
しかし復讐はいけません。すべては神様のお心に任せて」
ハムレット
「坊主のようなことを申すな」
オフィーリアの亡霊
「殿下のお心にないことを、私はいえませぬ。目には目を、歯に歯、はいけませぬ。それ、聖書にも書かれております。人、汝の右の頬を打てば、ほかの頬を向けよ」
ハムレット
「私も世継王子になるまでは、そんな気がしていた。しかし人間の心は黒く、汚れている。思いはとかく罪に向かう。さればこの恐れと悩みに満ちた体が、この機会に水となってとけてしまえばよい、と思っていた。この腐り切った世の中におさらばするなら、早い方がよい。私はそなたが身投げしたのであっても、別に責めはしないのだよ。ただ父上の亡霊より、うむ、復讐せよとのお言葉をいただいた。世継王子としてしなけれなならぬことが残っている。そなたの相手ばかりしていられないのだよ」
オフィーリアの亡霊
「それでは、殿下はやはり私を愛して下さいません」
ハムレット
「いや、愛はまた別だ。いとしく思っていた。あわれに思っていた。あの世に行ってからも、そなたが私を導いてくれることを望んでいる」
オフィーリアの亡霊
「復讐はいけません。殿下はすでに三人の人間を殺しておられます。王の命令に従っただけのローゼンクランツ、ギルデルスターンの徒まで。このオフィーリアは自らの感情に負けて命をちぢめたのですけれど。私の申すことをおききください。煉獄はありません。亡霊はありません。それはみんな殿下の気の迷いでございます」
ハムレット
「私ははじめはそう思っていた。城壁の上で父上の亡霊を見たと偽りをいった。ところが母上のお部屋でほんとにお目にかかったのだよ」
オフィーリアの亡霊
「その時から、殿下は本当に気が狂われたのです。それがおわかりになりませぬか。オフィーリアが純潔ではない(ハムレットに官能性も持つ熱い恋心を抱いていた)ように、亡霊などありませぬ。あれは殿下の妄想です。復讐はなりません。殿下の誤りの犠牲たるオフィーリアの願い、お聞き届け下さいますよう」
ハムレット
「うーむ、うるさい奴め。そなたまで、私に逆らうのか。大望ある身に、川にはまった娘の世迷い言を聞く耳持たぬ。とっとと消え失せい」
しかしオフィーリアは消えなかった。悲しげな眼差を私の顔に据えて、ずっとそこにいた。凍り付いたように動かぬ顔貌が、いつまでも私の前にあった。その時、私はこれが夢である、と気が付いた。
(大岡昇平「オフィーリアの埋葬」)

生きることの苦しみ、誰しもの苦しみ、僕の苦しみが消えないように、僕のなかに、オフィーリアやコーディリアや神尾観鈴、そういった、悲しみを引き受けて、静かに微笑んでいるような女性が消えないでいてくれて、彼女達のおかげでこの世界で生きていられると感じます。そういった女性は、本当に、僕にとって、救いです…。

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ハムレット シェイクスピア全集 〔23〕 白水Uブックス
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戦後短篇小説再発見〈3〉さまざまな恋愛 (講談社文芸文庫)
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山田風太郎「戦中派闇市日記」 苦しいときに楽しい本

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戦中派闇市日記―昭和22年・昭和23年

九日(月)晴
米食わざること既に一周、常食はいんげんなり、野菜もぴたりと町に見えずなりぬ。あるものとては大根のみ、されば大根漬けを菜にいんげんばかりくうに、十歩歩めば足重く、想をかまえんと欲するも頭脳まとまらず、登校しかけてくたびれて止める。
(山田風太郎「戦中派闇市日記」)

僕は昨日、馬鹿なことに、生活費全然ないのに本一万円分ぐらい買っちゃって、もうマジでヤバイ状態(頑張れますの大丈夫です)なので、こういうときは、山田風太郎さんの若い頃の日記とか読むのが好きです。凄く鬱な状態で、心が苦しい状態だったけど、山田風太郎さんの日記読んでると思わず笑っちゃって、なんか嬉しいんですね。山田風太郎さんが日記に、『貧乏で食うものなくて精神的にも苦しい!!嫌なことばかりだ!!苦しいよ!!うあああああ!!』みたいなことじゃんじゃん書いているんだけど、それが凄く素直に、なんていうのかな、爽快な感じに書いてあって、苦しいときに読むと思わず笑っちゃって、ああ、自分も笑えるんだなって感じて、凄くいいんですね。僕の大好きな文章引用します。読んでて笑っちゃいました。僕もこういう日記書きたいな、素直に全部出てて、もしよければ笑って楽しんでもらえる人がいたら嬉しい、そんな文章書きたいなって読むと思います。

六日(金)曇
霧雨に入れるもののごとし。霧雨けもり、夜はしょうしょうたる雨となる。
己は一体、こんな日記を書いて何になるのか、他人が読んで面白いだろうとは考えられない。
日記を読んで面白いのは書いた当人だけである。しかし、書いた己が、己の日記を後に読み返して、面白がって、それが何になるというのか、アミエルの日記が思い出される。
われわれは貧乏とか苦しみというものに理由のないメッキをかぶせて飾る滑稽な癖がある。
立志伝中の人はその伝記に若い日の苦しみを得意気に書いているから、われわれは苦しみが成功の主要なる原因であると考える傾向があるらしい。あたかも都会人は歯をみがく。都会人は虫歯が多い。故に歯を磨くことは虫歯の原因になると考えると、同じような愚かしさだ。成功の原因は決して苦しみではない。苦しみに苦しみ、虫けらのように死んでゆく人間は百万人中九十九万九千九百九十九人である。稀有な一人を自己と連想するのは自惚にすぎない。自惚にもまんざら理由のないこともないが先ず殆ど価値のないものである。
併し小説などでは苦しみに苦しむ人をよく描く。勿論、ハッピー・エンドとなる小説が多いので、われわれもいつかハッピー・エンドの時代が来るだろうと、御伽噺を自ら描いてうつつを抜かすのであるが、真面目なすぐれた小説は、必ずしもハッピー・エンドに終わらない。併し、終わらなくとも、芸術の中の人は、如何に惨めな人であっても一種の芸術的反射をうけて、光沢を具えているから、例えユーゴーの如く、その悲惨を意識して英雄化せんと努める作品でなくとも、それは明らかに現実の全く救われない、芸術味のない、真の意味で憐れむべき無数の人々とは違う。
現実の貧乏は、辛いものであり、芸術味のないものであり、しかして、豊かであるより価値のないものである。精神的苦しみなんてものも精神にとってさほど有意義なものとは思われない。精神というものの力を知ることが出来るから?――生命力の底を知り得るから?そんなことはつまらぬことだ。快楽に対する精神の力を知る方がよいではないか。幸福の天界を知る方がよいではないか。
己は貧乏に負けて愚痴を言っているのではないが、抽象的に貧乏や苦痛を公平に考えるとき、これが金持ちや快楽に比して、真の意味に於て立派なものであるとは考え難いのだ。

F・W・クロフツ『ポンスン事件』読。――参った!この凄まじいばかりの克明さには確かに参った。
(山田風太郎「戦中派闇市日記」)

こういう山田風太郎さんの文章読むと、元気が少し出てくる感じで大好きです。シオランという哲学者がいるんですが、山田風太郎さんは優しいシオランという感じがします…。

戦中派闇市日記―昭和22年・昭和23年
戦中派動乱日記―昭和24年・昭和25年
戦中派復興日記―昭和26年 昭和27年
戦中派虫けら日記―滅失への青春 (ちくま文庫)
新装版 戦中派不戦日記 (講談社文庫)
戦中派焼け跡日記―昭和21年
敗者の祈祷書 (叢書・ウニベルシタス)
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